教育基本法改正案採決間近

教育基本法改正:与党、10日採決の構え 8日に公聴会????特別委

 与野党は1日の衆院教育基本法特別委員会の理事会で、8日に教育基本法改正案の公聴会を開くことで合意した。公聴会は法案審議の最終段階に開かれるのが通例で、与党は採決の条件が整ったとして10日の衆院通過を目指す構えだ。ただ、野党は高校の履修単位不足問題を「格好の攻撃材料」として攻勢を強めており、衆院通過がずれ込む可能性もある。

 教育基本法「改正」情報センターにあるデータベースを是非見ていただきたい。これまでの国会論議で、なぜ教育基本法が改正されなければならないのか。教育基本法の改正によってどのような影響があるのか。それらがどれくらい明らかになっただろうか。結論は、全く明らかになっていないということ。
 今国会の質疑は、教育基本法についての議論ではなく、いじめの問題と未履修の問題に議論が集中している。先の国会でも今国会でも結局議論は深まらなかった。その要因は、与党も野党も論点を明確にしていこうという意志さえなく、与党、民主党両党が、改正案を互いに揺さぶりをかける道具に利用してしまったこと。また、教育基本法改正の論議は本来多岐にわたるはずのものが、一部だけに議論が集中してしまったことなどがある。
 こうして、要因は何かというようなことを書いていると、さらに、怒りや焦りがこみ上げてくる。今回の教育基本法改正のメリット(一部の人たちにとっての)は三つしかない。一つは、教育基本法改正は、安倍首相の言う「戦後レジューム」からの脱却の始まりを象徴する出来事として恰好のものであるということ。二つ目は、教育行政にフリーハンドを与え、また、教育に政治がいつでも好きなように介入する根拠を与えること。三つ目は、「教育振興基本計画」の策定が可能になることによって文科省文教族議員にとっては、道路などと同様の大きな権益を獲得できること。たったそれだけのメリットのために、多くのことが犠牲にされている。
 時間だけを積み上げ、議論は深まることがない。採決も近いと言われている。与党も野党も本当に議論が十分にできたと考えているのだろうか。