2008-01-01から1年間の記事一覧

提灯に釣り鐘

秋田県知事が全国学力調査の市町村別の結果を公表したという。「提灯に釣り鐘」その言葉がぴったりだと思う。その理由は,市町村別の結果を「比較する」ためには,比較可能なもの(数値など)を用いて比較する必要がある。けれども,市町村別の結果を公表す…

文部科学省はなぜ責任を負うことをしないのか

全国学力調査の結果公表について,文部科学省はおかしな方向に進んでいこうとしている。http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20080811/1218465873で書いてきたことの繰り返しになるけれど,文部科学省の「実施要領」なるものに対しては,http://sankei.jp.msn.co…

未来を描こうとしない日本の教育

IEA国際数学・理科教育動向調査の2007年調査(TIMSS2007) TIMSS2007の結果が発表された。結果は予想と大きく外れていない。TIMSSは元々いわゆる「東アジア型の教育」と相性が良い。それはhttp://sankei.jp.msn.com/life/education/081210/edc08121000140…

教育は「リスク回避」ではなく「リスクを取る」べき

教育が「リスク回避」に終始している。最近そう思う。教育は「リスク回避」に終始するのではなく「リスクを取る」べきものだ。教育がリスクを取ることをしなくなれば,そのリスクは放置されるか別のところでリスクを負うことになる。最近は特にそういうこと…

「判断すること」を教えて育てること

携帯電話の話題が取り上げられている。以前,http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20080518/1211038742で書いたことを繰り返し書いておきたいのだけど,規制や禁止をいう大人より,物わかりの良い大人より,きちんと子どもと話せる大人がいいと思う。子どもに携…

ここによく表れている日本の学力をめぐる論議のおかしさ

学力テスト1位「秋田に学べ」は大丈夫? 大学進学率は低迷 日本における学力をめぐる議論のおかしさがこの記事にはよく表れている。以前,http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20071206/1196896313で次のようなことを書いた。 PISAの結果についてマスコミはそろ…

限界をふまえない議論 全国学力調査という魔法の杖

【主張】学力テスト 指導の改善へ積極公表を 全国学力調査をめぐる議論でよく目にするのは,限界をふまえないまま議論しているもの。ここでいう限界というのは,全国学力調査を含めたテストは,見ようとするものしか見えないのだということ。 全国学力調査の…

祭りの後

祭りが終わった後,そのことを考える。祭りの間はいいけれど,それが終わった後どうなるのか。それを考える。大阪は祭りの最中だ。今のテンションが祭りの終わりとともに下がって,結局何が残ったのかという状況を生み出さないだろうか。 日本の教育改革は祭…

アカウンタビリティの意味を問い直すために

[asin:4820803719:detail] 石井英真「アメリカにおける学力向上政策の教訓―アカウンタビリティを民主的な教育改革の力に―」より引用。 公教育の責務として,現代社会をよりよく生きていくうえで必要な知識・能力をどの子にも確実に習得させたい。そのために…

教育行政を評価するという視点はないですか?

以前,http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20071027/1193413957で教育行政を評価しようということを書いた。全国学力調査は行政調査であり,その目的は教育行政の評価にある。全国学力調査は個人の学力を測定するものであると勘違いされ,また,教師や学校の能…

前提としていることの根拠は?

学テ、成績開示へ=秋田県教委、全国初決定?市町村名伏せ、学校別も非開示 この記事に寄せられているコメント,学力調査の結果の公表を望む主張が前提としているもの。全国学力調査で学校や教師が評価できる。というもの。その根拠はどこにあるのだろうか?…

問題を矮小化して何をしたいのか

組合と学力に関連性はあるか? 低学力地域は日教組票多く 先日から,これが話題になっている。それがどうした?それで何がしたいの?と思う。学力の問題を,こうしたことに矮小化し,単純化し,短絡的に論じられる。それが何より我慢できない。 日教組がどう…

こんなデタラメに付き合わされないこと

【解答乱麻】教育評論家・石井昌浩 テスト結果を公表せよ まず, 文科省は、調査見直し・不要論にたじろいではならない。国の教育政策立案の基礎として学力を検証するに足る長期間の全国データはぜひとも必要なのである。教育は国家百年の計なのだ。43年ぶ…

忘れられたファクター

教育委員問われる存在価値 橋下知事発言で注目 今の流行に乗っかって言えば,「教育委員会が形骸化したのは日教組のせいだ」だろうか。教育委員会が形骸化した要因の一つに日教組は挙げられるだろう。その流行語は教育委員会を形骸化した他のファクターの存…

責任を取る気のない方々

「適切な取り扱いを」=南部町の学テ結果開示で?銭谷文科次官 以前,http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20080710/1215630094で書いたことを繰り返すなら,「適切な取り扱い」とは何か。それをきちんと法制化し,文部科学省は責任を負うべき。その立場にあるも…

全国学力調査という魔法の杖

http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070509/1178642759で引用した池田央氏の 私はよく、「意味のある調査」と「ナンセンスな調査」という風に分けて呼ぶのですが、「意味のある調査」とは、例えば、ある問題の正答率が高かった、または低かったかが分かるだけ…

試行錯誤を否定してはいない

私の主張していることは,試行錯誤を否定することではない。全国学調査は今まさに試行錯誤の最中であると言われるかもしれない。しかし,その試行錯誤は合理的な判断に基づいたものではないということを主張してきた。それは,http://d.hatena.ne.jp/kaikai0…

学力調査の拡大という本末転倒した主張

「学力テスト、小5?中3に拡大を」文科相が私見 塩谷立文部科学相は26日、昨春に約40年ぶりに復活した全国学力テストについて「(小学)5年から中学生ぐらいまで毎年行い、自分の学力向上が測れるシステムができればよい」と述べ、対象を現行の小6と…

テストの負の側面にも目を向ける

[asin:4820803719:detail] 二宮衆一「イギリスにおける学力向上政策の動向―ナショナル・テスト体制の導入は学校現場に何をもたらしたのか―」より引用。 ロンドン大学名誉教授のポール・ブラック(Black,P.)は1998年に発表した「Inside the Black Box」とい…

学力調査の結果公表の問題の議論に欠けていること

学力調査の結果公表についてよく「自分の位置を知ることが必要」といったことが言われる。それはフィードバックの重要性を言っているのかもしれない。けれど,「誰が何のためにどんな情報が必要なのか」という視点で結果の公表の是非が語られてはいない。そ…

全国学力調査について少しだけ

【主張】学力テスト結果 公表し上位の地域に学べ まず, 市町村教委は学校や教員が評価されることを恐れず、積極的に学力を公表し、地域の子供たちの学力向上に役立てるべきである。 という主張には同意できない。その理由は,全国学力調査の調査結果のどこ…

学力テストについてもっと議論をすべき(再掲)

ベネッセの『BERD』No.04(現在未刊) は「学力調査、その狙いとデザインを考える」という特集を組んでいる。(PDFファイルで閲覧可能)http://benesse.jp/berd/center/open/berd/index.html 特に田中耕治氏の論文。西林克彦氏、新渡幹夫氏、山粼誠二氏の座…

こういう取り組みをもっと広めたい(再掲)

教師が作る学力テスト…「現場の知」凝縮 教師自身に作問させる理由について、同県教育庁は〈1〉子どもがつまずきやすい個所など現状を知っている〈2〉授業の改善につなげる作問ができる〈3〉教師自身の勉強になる――と説明する。 本来なら学力テストはこの…

全国学力テストを何のために行うのか(再掲)

学力診断テスト:国語基礎など設定正答率下回る????京都市除く府内の中2 /京都 府教委は16日、府内の中学2年生を対象にした今年で4回目の学力診断テストの結果を公表した。国語・数学・英語の3教科で昨年11月に行い、京都市を除く府内99校の約9…

犬山市教委は何を失ったのか(再掲)

先ほどのエントリーで引用した議事録を読んでいて、銭谷氏の次のような発言にひっかかった。 私ども、先ほど申し上げましたように、調査への参加は学校の設置者でございます市町村教育委員会の判断ではございますが、犬山市につきましては、今回の学力・学習…

学力テストは学習改革に結びつかないし、結び付けられることはない(再掲)

社説2 学習改革に学力テスト生かせ(4/21) この社説は、全国学力テストについてなんら理解していないし、学力テストがこれまでさんざん行われてきたこと、その結果問題が一向に解決に向かわなかったことを全く理解せずに書いている。 子どもたちの本当の学力…

教育改革に必要なのは慎重さと合理的な判断だと思う(再掲)

http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20061110/1163087610で紹介したことがあるが、藤田英典氏は、 (前略)それから今、先程ご指摘ありましたように、この問題は1980年代からあるいはもっと遡れば、公選制の教育委員会制度が任命制に変わったときからずっと問題…

日本の学力調査はすばらしいのだろう

日本の学力調査はすばらしいものなのだろう。PISAなどは参考にすべきかもしれない。その理由は,なぜそれが調査結果から分かるの?と思うようなことが結果を見れば分かるという主張が当たり前のように語られているから。 日本テスト学会はテスト規準で テス…

私教育を前提としない議論は成り立つのか(再掲)

<不登校>児童23人が謎の欠席、学校側13人に出席催促 文科省「聞いたことない」 Yahoo!のこの記事に寄せられているコメントを読んでいると,先日も書いたように「私教育」を前提としないで批判したり議論しようとしているように思う。そうした批判や議…

公教育と私教育(再掲)

新潟市教委:欠席児童保護者に督促書 母親ら「親の意思ではない」 /新潟 <不登校>児童23人が謎の欠席、学校側13人に出席催促 文科省「聞いたことない」 以前, いろんな図式の中からまずは抜け出すこと で書いたこととも重なるけれど少し書いておきた…