学力テストについてもっと議論をすべき(再掲)

 ベネッセの『BERD』No.04(現在未刊) は「学力調査、その狙いとデザインを考える」という特集を組んでいる。(PDFファイルで閲覧可能)http://benesse.jp/berd/center/open/berd/index.html
 特に田中耕治氏の論文。西林克彦氏、新渡幹夫氏、山粼誠二氏の座談会。小松郁夫氏、池田央氏へのインタビューは参考になる。
 また、

国学力テスト、学校・市町村ごとの成績非公表に

ということが報道されている。
 この記事の中では、

 文部科学省が2007年度から小6と中3の児童・生徒を対象に実施する「全国学力テスト」について、同省の専門家会議は24日、成績を市町村別や学校別に公表すべきでないとする中間報告をまとめた。
 地域や学校の序列化や競争過熱が懸念されるためで、結果公表は国全体と都道府県ごとの平均正答率や学力分布図などにとどめるよう求めた。

とされているが、現在検討されている「全国学力テスト」の目的は国の教育施策を評価するためであり、その目的から考えれば、テストの成績を市町村別や学校別に公表する必然性はない。記事を読むと、成績を公表したいが「懸念される」から公表しないという感じだが、それは間違いだ。まして、公表しないということで競争を過度に排除しているという批判があるとしたら、それは的外れだ。
 これから必要なことは、学力テストについてもっと議論をし理解を深めていくことだ。それが十分でないまま実施すれば混乱するだけだ。また、不参加を表明したものに学力テストへの参加を強制する動きがあるが、そのようなことはすべきではない。
 国際的な調査と比較すると、実施までの準備期間が明らかに不足している。少なくとも数年は準備に必要だ。それまで実施を先送りしても、各学校レベルできちんとした学力の評価と対策が実施されれば大きな影響はないはずだ。
 莫大な額の税金を使って実施するということもあり、きちんとした戦略と準備を欠いてはならない。たった数年で大きな制度変更を強いられるようなことがあってはならない。そのために、実施までにはももっと時間をかける必要がある。