教員を育てることを軽視している

指導力不足教員 まだまだ「氷山の一角」なのでは(9月14日付・読売社説)

教員の質の確保のために、人事管理は厳格に行ってもらいたい。

 問題の根幹はこの言葉にある。指導力不足であると教員の大半が認定されても教員の質は向上しない。その理由は明白。この社説のいう「人事管理の厳格化」は教員を育てることを前提としないからだ。
 数日前から指導力不足教員に何人認定され,認定された教員が何人現場復帰したかというような記事が目につき始めた。それらの記事に共通するのは,現場復帰した教員が少ないことだ。それが示すのは,教員を育てない研修を実施し,その結果として現場復帰できない教員が多いということ。また,指導力不足とされるような教員がなぜ生まれるのか。その問題には目を向けない。
 指導力不足の教員が人事管理の強化や免許更新制では解決できないことは,子どもの学力の場合を考えればわかりやすい。学力テストを実施しても評定を厳しく行っても学力は向上しないし,実際にしていない。共通するのは,「育てる」ことを最優先しないということだ。
 この国の教育行政は,やるべきこと,優先すべきこと,投資すべきもの,時間をかけるべきもの,そうしたことを軽視し,結果だけを取り出して批判し,自分たちの責任逃れのための施策を次々と実施している。そうした中で子どもも教員も育たないのは当然のこと。
 教員に対する人事管理の強化は,教員を育てない。教員を育てないことをいくらやっても質は向上しない。人事管理の強化が質を向上させるというおかしな論理から抜け出さない限り,教員の質は向上しない。