教育予算の問題

 先日、財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会で配布された資料のなかに文教予算の今後の課題というのがあって。例えば、その中に「教育予算の対GDP比について」というのがある。そこでは、教育予算の対GDP比議論の問題点として

  • 日本の公教育財政支出の対GDP比が諸外国より低いので問題との指摘は、以下の点で不適切な議論。
    • OECD調査では、日本の学校教育に対する財政支出の対GDP比が低くなっているが、より詳細に見れば、
      • そもそも日本は対GDP比で見た財政支出の規模が小さい。つまり、小さな政府である。
      • 政府支出全体に占める教育支出の割合を見れば、日本はヨーロッパ諸国並み
      • 初等中等教育(小中高)における生徒一人当たりの額を比べるとG5中3位であり、OECD平均を上回る。

など、諸外国と比べ一概に低い水準とは言えない。
 したがって、単にGDP比のみをもって教育予算を国際比較するのは不適切。

というように説明している。
 林向達氏のエントリー(http://rin.typepad.jp/edu/2007/05/post_cfed.html)で何が問題なのかは指摘されているのでここでは繰り返さない。このエントリーの最後にある

 あなたが,この財務省の資料を見たり,この資料にもとづく新聞記事を見て「財務省って酷いなぁ」と思ったとしても,それは感想のレベルとしてはよいとしても,本気でそんなことを考えたりしてはいけない。
 文教予算,つまり教育予算にお金を回さないのは,私たち国民がそう認めてきたからであり,総理大臣以下,閣僚や政治家たちを通して,官僚にそうさせてきたからである。

 もしもそれを変えたければ,私たちは基本に戻って望ましいと思う選択をする他ない。

という指摘はこの問題の本質を突いていると思う。教育予算の問題は自分たちにとって非常に身近な問題であるにもかかわらず、遠い存在にしてしまっていた。もっと関心を寄せなければいけない問題だ。