「食」礼賛

食育を担う(3)完全米飯「非行減った」 : 教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 この記事では、完全米飯化が非行を減らし、不登校の子どもがいなくなり、学力が向上したかのように描かれている。しかし、それはあまりにも飛躍した論理であり、その結果をもたらした要因に対する分析が十分できていない。
 完全米飯化は、結果をもたらした様々な要因の一つでしかなく、また、どこでも同じことをすれば同じ結果を得られるというものではない。最近の「食育」に関する報道や発言は、あまりにも「食」を過大評価し、「食育」が様々なものを解決できる素晴らしいものだと礼賛している。こういう傾向は決して望ましいとは思わない。それは、様々な要因に目を向けることを妨げ、複雑なものを短絡的に捉えることにつながるからだ。
 こうして何もかも短絡的に捉え、礼賛していく傾向は教育界に様々なブームを巻き起こしている。しかし、それはブームであり、一過性のものでしかない。そういうブームの中で可視化されない問題は山積している。もう少し冷静に眺めて欲しい。食は確かに大切だ。しかし、それは万能ではない。その限界をきちんと考えておくべきだ。