無知の愛国心

発信箱:愛国心のかたち=元村有希子

 いつの時代も、若者は無知だと大人は言う。無知が悪いのではない。無知ゆえに、自ら考える機会を放棄することが怖い。

 ゆとり教育負の遺産で、彼らは知らないことを「習ってないから仕方ない」と考える。その代わり、教わることには従順だ。昔の若者を「無気力・無責任・無関心」の三無主義と呼ぶなら、今の若者は「無知・無邪気・無抵抗」か。

 同じ発想で「愛国心」が学校で教えられる社会をつい想像してしまう。愛国心が悪いのではない。その意味を考えない癖がついてしまうことが怖い。

 と元村氏は述べている。若者の無知を嘆く大人がいる一方で、若者が無知であることを利用しようとする大人がいる。無知で教わることに従順な若者に自分の主義や主張だけを植え付けていく。それを彼らは「教育」と呼んでいる。
 その「教育」で行われてるのは、子どもが自分で考え、行動し、発言することではなく、与えられた知識で用意された考え方で、予定された行動や発言をする子どもを育てること。正解は他人が用意し、他人が決める。そして、無知で従順であることが何よりも尊重される。そんな教育が行われている。