2006年4月14日 衆議院 内閣委員会の質疑より

以下、公明党太田昭宏議員と猪口邦子少子化男女共同参画担当大臣との質疑の一部を引用

○太田(昭)委員 大きい問題ばかりで申しわけないですが、私がきょう質問したものは、そうした全体像の、一つ一つの質問、答弁というだけで当然終わるようなものではないので、大事な項目の柱で、ぜひともいろいろな幅広い議論をして対応していただきたいというふうに思います。
 ニートについて。ニート、フリーター、私、これは非常に対策が大事だと思っていますが、けさ八時から会合があって、玄田有史さんたちがしゃべったりして、これはそこから出ている。時代をえぐったなかなかの角度だったと思いますよ。
 しかし最近、「「ニート」って言うな!」という本田由紀さんの本を私は読んで、これまた非常に大事で、ニートというのは、ある意味では、不登校、引きこもりということからの延長線上で、どちらかというとネガティブキャンペーン的な、あるいは病的なものとしてとらえる傾向というものは、角度がついているだけに非常におもしろいんですが、しかし、「「ニート」って言うな!」という本を読めば確かにそのとおりで、景気が悪かった、団塊の世代が五十代で高賃金であるということが多いから若者の雇用というものが極めて不十分になってきた、時代の要請の中から正規とアルバイトとそして派遣社員という雇用形態の変化というものがある、それから、企業が非常に苦しかったということで、そうしたことをやろうとして生き残ろうとする、そして女性雇用の増加、人件費縮減への企業のある意味では悪戦苦闘の結果、依然として、学校を経由して卒業時でどのバスに乗るかということが決まってしまうというような、選択がかなり学校卒業時に限られるという雇用、採用の形態、さまざまなものがあって、ニートというもの、あるいはフリーター、どこで線引きができるかわからないけれどもという指摘は、私は非常に正しい、そう思ったんです。
 だから、ニート、フリーターというのを決して病的な現代若者論に転嫁してはならない。政治家としては、むしろ雇用というような角度で、個人や家庭教育のみに還元しない、むしろ政治でこれを引き取るという角度がなければ、政策論的に展開しなければならない、私はそのように思っておりますが、この点についてのニートに対する現状把握や対策で、一言じゃなかなか言えないんだけれども、また、今はもう学者でもないから、そういう点では意見を言いにくいかもしれませんが、言えるところまで言ってください。

○猪口国務大臣 先生の御質問にお答え申し上げたいと思います。
 私といたしましては、いわゆるニートと呼ばれる若者につきましては、本人の意欲といった問題ではなく、あるいはそれだけではなく、先生御指摘のとおり、景気の後退により企業が新規採用を抑制する、あるいは採用する場合もパート、アルバイト等の非正規雇用を拡大していること、さらに、従来の教育や人材育成、雇用システムが社会や労働市場の変化に十分対応できていないことなど、構造的な問題が背景にあると考えております。つまり、構造的な問題が背景にあって発生している、そういう問題であると考えております。
 ですから、政策的な対応が必要なのでありまして、ニートへの対策も含めまして、若者の自立の問題につきましては、若者自立・挑戦プラン、これが平成十五年にまとめられたものですが、十六年にも若者の自立・挑戦のためのアクションプランが策定されまして、これに基づきまして関係省庁一体となって取り組みを進めているところでございます。
 プランの最終年度であります本年度なんですけれども、ニートの対策を強化して、例えば若者自立塾はさらに拡充していく、それから、本年度からの新規事業といたしましては、これは地域若者サポートステーションと呼んでいるんですけれども、若者の職業的自立を支援する、そこに行けばいろいろなアドバイスも受けることができる、ワンストップのようなところなんですけれども、その設置を進めるということを考えております。
 また、より早い段階からは、例えば中学生のころ、職場体験、職業体験、キャリア・スタート・ウイーク、週、ウイークで五日間だけなんですけれども、全国展開して、学校段階からキャリア教育の強化とその意識の啓発に取り組んでいきたいという事業も行っているところでございまして、しっかりと若い世代を支援していきたいと考えております。
 ちなみに、先ほどブレア政権の中での考え方、ワーク・ライフ・バランスについてお伝えいたしましたが、このことにつきましても、ちょっと調べてみましたところ、やはりブレア政権の中でそういう施策の研究がされていまして、そのときの位置づけがこういう表現になっていました。将来の社会的排除の可能性のある若者を早期から支援すべきという考え方なので、本人に責任を追及するというよりは、社会から何らかの形で排除されては絶対にいけない、だから支援が必要である、こういう視点がそもそもの概念化の中でなされていることをお伝え申し上げます。

○太田(昭)委員 時間がなくなってきましたから質問は短くします。
 通告していますが、イギリスで、このニート、フリーター対策ということで国家プロジェクトがあって、ラーンダイレクト、コネクションズという二つがあるんですが、この点については参考になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 それからもう一点だけ。女性の再就職支援について条件整備を推進するというのが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問は終わりますが、お答えください。

○猪口国務大臣 女性の再就職につきましては、女性再チャレンジプランによりまして着実に推進していきたいと存じます。
 また、先生御指摘のラーンダイレクト、イギリスの取り組みですが、これは、基礎学力のレベルにつきましては、日本におきましては小学校教育の中で非常に着実になされていると理解しておりますが、より上の段階のEラーニングサービスのようなところにおいて参考にしているところでございます。
 また、コネクションズにつきましては、実は、先ほど引用しましたのは、ニートの対策としてコネクションズというプロジェクトの中から出てきていますので、そこにつきましては、どのようにそのような不安感を抱えている若者あるいは本来あるべき機会に恵まれていない若者に対して支援ができるか、イギリスの取り組み事例なども参考にしながら、我々の方の施策も充実させてまいりたいと考えております。

○太田(昭)委員 終わります。ありがとうございました。

 このような議論が行われていたことに少し驚く。