現場にいながら会議室にいる人

【学力テスト】 抽出方式に「不公平」の声も

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 小学6年と中学3年の全員参加から3割抽出に方式が変わって初めてとなった全国学力テスト。8月2日には国が採点した結果が各学校に届けられるが、手にするのは3割の子供のみで、全体の4割に当たる自主参加の子供には届かない。現場からは「すべての子供が自分の学力をチェックできないのは不公平だ」と批判が上がっている。

という「現場」の批判。「 」をつけたのは現場ではなく現場にいながら会議室にいる人の批判だから。全国学力テストに依存したい,依存させたい。そういう人たちにとっては,この記事の「現場」の批判はまっとうな批判に見えるかもしれない。でも,それは違う。
 全国学力テストだけが子どもの学力をチェックする手段ではない。全国学力テストがなくてもいくらでも方法はある。全国学力テストが実施できないからといって学力把握ができないというものではない。
 現場の強みと意義は,子どもに一番近いから,子どものことを把握することがいつでもできるし,様々な方法でできるということ。それなのに,この記事にある批判をした「現場」はそこにいるのに遠くから子どもを覗いて子どものことを把握しようとしている。現場にいるのに会議室にいるようなものだ。
 この批判にある「不公平」という言葉は,全国学力テストに依存して,自分たちができることをやらないことへの免罪符でしかない。現場にいながら子どもたちを会議室で眺めている。そういう「現場」の言い訳でしかない。