全国学力テストは戦略をきちんと持ってやるべき

学力テスト4割抽出に=県別傾向探る?文科省

国学力テスト:抽出40% 費用30億円に圧縮??文科省調整

学力テストは40%抽出で 文科省が全員参加を変更

 毎日新聞の記事が一番詳しいのでそれを残しておきたい。

http://mainichi.jp/life/edu/archive/news/2009/10/20091015dde001100068000c.htmlの魚拓

 悉皆調査から抽出調査へという方向性はいいとしても,そのやり方がもう少し何とかならないだろうかと思う。
 抽出調査になると課題が見つけられないというような主張がある(その主張にはどうしても同意できないのだけれど)ので,地方に予算を配分し,当面は地方で個別にやってもらう。その間に専門家のチームなどを編成して,国の行う調査の方法などについて議論し,手法の開発と確立を行う。その上で,国の調査を実施していく。地方が個別にやっていくならそれは予算をつけて続ければいい。将来は,各段階で必要な調査が妥当性と合理性を軽視しないで行えるようにすべき。
 抽出調査になると抽出が意図的に行われるという主張も出てくるだろう。NAEPやPISAを参考にして抽出方法や割合は考えていけばいい。大事なことは,http://benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2005_04/fea_ikeda_04.htmlで池田央氏が

また、結果の数値を示されただけでは、その調査がいったい何を測定したことになるのか、意味が分かりません。数値の出された過程がブラックボックスに入り、解釈に必要な手続きが不明だからです。教育の分野に限らず、統計を使うときに危険なのは、得てして、調査項目の設定過程、サンプリングの方法や実施結果、処理手続きなどのプロセスが隠されたまま、数値だけが独り歩きしてしまうことです。どのような調査も完全ではありません。したがって、そのプロセスを明示し、統計数値の見方、限界範囲、他の類似情報との比較可能性などが明らかになって初めて、その統計数値の示唆する意味を理解できるのです。

と指摘しているように,公開すべきことはきちんと公開をしていくことだ。そうでなければ,意図的な抽出を行ったというような誤解を解消することができない。
 全国学力テストはきちんと戦略を持ってやってほしい。NAEPもPISAも戦略を持ってじっくりと議論し,試行錯誤して行われている。そうしたことはどんどん真似てほしい。