きちんと区別すること

抽出方式、来年度にも=全国学力テスト?文科副大臣が方針

 全国学力テストは誰のために必要なのか。国か自治体か,学校か個々の子どもか,それをきちんと区別して考えるべきだ。全国学力テストは民間の全国模試とは違う。そういうことさえ区別せずに抽出調査では駄目で,悉皆調査でなければいけないというような主張がある。
 国が必要とする調査と自治体が必要とする調査,学校が必要とする調査,個々の子どもが必要とする調査はそれぞれ妥当な規模や妥当な方法が異なる。全国学力テストがそれらすべてをカバーできるかのような捉え方はやめるべき。
 国が全国学力テストを始めると決めたとき,自治体がやっていた独自の学力テストを止めた自治体がある。その自治体の教育委員会はなぜ独自の調査を止めたのか。その自治体は,全国学力テストが自分たちの必要とする調査の代わりになると考えていたのかもしれない。犬山市教育委員会は国の調査は自分たちの必要とする調査ではないと判断し,その調査へ参加しない方針を決めた。それは,全国学力テストがオールマイティーな調査ではないことをきちんと分かっていたからだ。
 個々の子どもの課題の把握はどういう規模でどういう方法で行うのが妥当なのか。そうしたことを議論し,その仕組みを作り上げる機会を全国学力テストは妨げているのではないか。全国学力テストに依存し,http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20090921/1253476341で書いたけれど,自分たちに何ができるのかを自治体などが考えなくなっている。
 誰にとって必要な調査なのか。それを区別すること。その調査の妥当な規模や妥当な方法は何か。全国学力テストがオールマイティーな調査であるような捉え方をやめて,そうしたことをきちんと議論することが必要だ。