山は高くなろうとするからすそ野が広くなる
【断 宇治原史規】すそ野は広く、大空高く
富士山は常に高くなろうとしてきた。だから,すそ野が広くなった。富士山はすそ野が広いから高くなったのではない。それは子どもの学びでも同じ。
富士山はまず自分を高くしていく。けれども,高くなろうとしてもある程度までくると不安定になり,先の方が崩れる。その崩れたものはやがてすそ野になる。富士山はそうしてすそ野を広げている間は成長を止めたように見えるだろう。けれども,富士山はその間でも高くなろうとする。すそ野が広がるとまた富士山は高くなっていく。
子どもも高くなろうとする。けれども不安定になる。そうしたら基礎に降りていく,戻ることになる。そうして必要な基礎を学び,すそ野を広げていく。その時,子どもの成長もまた止まったように見えるだろう。でも,子どもは高くなろうとするなら,すそ野ができたらまた高くなる。
学校で行われている,巷でいわれている基礎学力の話は富士山の場合とは違う。砂場で山を作るのと同じ。
砂場の山はまずすそ野を大きく作る。そうしてそとから砂を積み上げていく。だから,外から積み上げる砂が無くなったり,外から積み上げてくれるものがなければその山はすそ野だけが広い,低い山になる。
富士山は内部から突き上げてくるマグマがある。子どもにもある。けれども,大人はそのマグマの存在を無視したり,気づかないまま砂場の山作りに奔走する。せっかちに上だけを積み上げていこうともする。
子どもの学びは砂場の山とは違う。すそ野だけをやたらと広くし,それから先は自然に高くなっていくと勘違いしてはいけない。