何も変わらない 心性操作のうまい文部科学省と中教審

中教審が「ゆとり教育」猛反省 平成23年度からの授業は

理、数、外国語が大幅増 学習指導要領の中教審部会案

中教審>中間まとめ了承 ゆとり転換、理数強化

小学校301時間、中学360時間増=主要教科?新指導要領の審議まとめ・中教審

ゆとり教育見直し、小5から「英語活動」創設…中教審

 中教審が「ゆとり教育」についての反省文を書いたそうで,それで何だかお祭り騒ぎみたいになっている。でも本当に中教審は変わったのだろうか。
 実際には,中教審文部科学省も全く体質が変わっていない。

中教審>「ゆとり」検証ないまま 「総合学習」大幅削減へ

毎日新聞

教育行政は十分な検証もないまま、ゆとり教育の実質的な見直しに大きくかじを切った形となった。

と指摘している。まさにいわゆる「ゆとり教育」路線が検証無きまま進められてきたように,今回もまた検証無きまま「ゆとり教育からの脱却」が進められている。
 http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070519/1179520866で紹介してkれど,自民党の「マネジメントの観点からの教育再生研究会」が指摘したことがどれだけ実現しているだろうか。研究会の提言は「客観データや先行研究を踏まえた合理的な教育政策」の実現のために行われたが,その提言が受け入れられた形跡はない。
 今回話題になっている「反省文」自体「客観データや先行研究を踏まえた合理的な教育政策」になっていない。それにも関わらず今回の反省文が歓迎されているのはなぜか。
 それは,今回の反省文が「心性操作」のためにうまく利用されているからだ。これまで「ゆとり教育」路線が批判されてきた。しかも,「授業時数が減れば学力が低下する」「教科書が薄くなれば学力が低下する」など,きちんと検証されたものでもなく,真理でもないのに「自明視」された言説によって批判されてきた。それ自身「心性操作」になっている。
 そして,今回中教審は批判されてきた「ゆとり教育」路線を否定してみせることで,「反ゆとり教育」「ゆとり教育からの脱却論」を主張する方々の賛同を得た。また,学力低下などに不安を感じる人たちの賛同も得ることになった。
 中教審文部科学省は,これまで幾度も気がつかれないように「ゆとり教育」路線を方向転換してきた。それは彼らの責任を問われなくても済むようにするために行われてきた。それでは足りないとばかりに今回は明確に否定して見せた。これで彼らはまんまと批判される側から立場を変え,「ゆとり教育からの脱却」路線に乗り換えた。そうして彼らは「ゆとり教育からの脱却」路線に乗ってさえいれば教育改革が受け入れられる環境を作り上げた。
 「ゆとり教育」を否定するという行為で「心性操作」を行い,文部科学省中教審は自らを正当化し,責任の追及から逃れることになった。
 ぜひ,「ゆとり教育からの脱却路線」をきちんと検証してもらいたい。本当に授業時数の増加などによって学力向上などの効果があるのか。また,そうした見通し,「確信」が何を根拠としているのか。そういうことを冷静に見つめて検証してもらいたい。ここでも今後そういうことをやっていきたい。「自明視」されているような教育論,教育言説の検証もできればいいなと思う。中教審文部科学省教育再生会議も体質は全く変わっていない。そういうものから早く脱却してほしい。

中教審が「ゆとり教育」猛反省 平成23年度からの授業は