彼らの見ているものは何か

公立小中学校の統合、経費削減効果を強調へ 財政審

 公立小・中学校の統合を加速させよ――。財務相の諮問機関・財政制度等審議会(財政審)は6月初めにまとめる報告書(建議)で小中学校の統廃合による経費削減効果を強調する見通しだ。財務省は、527校を221校に統廃合した結果、年約170億円の削減効果があったとの資料をまとめ、「保護者にも好評」とするが、通学が不便になったとの反発もある。

 彼らが目にしているデータはどんなものだろうか。彼らが見ているのは、子どもの数や学校の数、経費がどれくらいかを示した数値とグラフだけだろう。
 彼らは、実際に学校がどのように配置されているのかを示したものとか、学校を存続してほしいという要望がなぜ出されているのかとか、そういうものは見ていないだろう。
 だから、簡単にいくら減らせばいくら経費が削減できると言える。学校の統廃合はそういう数値だけで決められることじゃない。学校のある地域ごとに事情は異なる。そういうことを考えもしないようなものは非現実的なものでしかない。
 彼らにとっては、削減しやすいところから削減していければいい。そういう自分たちの都合しかない。