全国学力テストの結果は誰に対する評価の結果なのか

 全国学力テストの結果は誰に対する評価なのか。そのことがどれだけ理解されているだろうか。
 全国学力テストは
http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070411/1176270236
で書いたように、「教育政策アセスメント調査」だ。だから、評価の対象となるのは教育行政だ。
 全国学力テストの結果、見直しを迫られるのは、どこそこのだれだれではなく、文部科学省であり、教育行政の側だ。そのことを自覚もしていない、そして、それをきちんと説明しない文部科学省や教育行政は学力テストの結果から何も得ないし、何も変わらない。
 一つ例を挙げよう。学習指導要領が現実と乖離しているとか、問題があると指摘されている。しかし、なぜ文部科学省は学習指導要領の抱える問題を解決できないのか。その理由ははっきりとしている。彼らは問題が何であるか見えていないし、自覚もしていないから。そして、彼ら自身評価を受けているという自覚も無ければそういうツールを持たないからだ。
 「評価」は「被評価者」が評価されているという自覚を持たないとき、その評価は成立しない。また、そのようなものを何度繰り返しても、「被評価者」は何が課題であるか自覚しないし、どうやれば課題が解決するのか理解することはない。
 全国学力テストは政策評価であること。その評価の対象者は文部科学省であり、教育行政であること。そういう最低限のことでさえ、全国学力テストでは確認されていないし、理解されていない。だから、その評価は成立していない。
 被評価者が評価者であると勘違いし、評価を行おうとしている。それが全国学力テストだ。そして被評価者である彼らは変わることはないし、責任を取ることもない。