問題は一向に改善していない

高3学力テスト、「ゆとり世代」で結果改善 文科省

ゆとり教育:学力は「改善の方向」 文科省調査

ゆとり教育:学力は改善傾向 実感ない現場教師たち

学力低下改善の兆しも 高校生学力テスト

学力低下に歯止めの兆し、「ゆとり教育」下で初の調査

 以前、同じようなことを書いたが、PISA調査の結果が公表されたときも指摘された、記述式の問題や理系教科についてはほとんど改善していない。これは、各自治体が実施している学力テストでも毎年、毎回指摘されている。
 今回の結果から見えてくることは、以前から指摘されている問題が一向に改善されていないということ。だから、今回の結果から安易に学力低下に歯止めの兆しが見えるというような捉え方はできない。
 どの記事でも指摘されていないが、今回の調査の対象となった子どもたちがどのような指導をされてきたのかというところに目を向けるべきだ。そこに目を向けることなく、授業時数や学習内容の削減などにばかり目が向けられている。
 なぜ、以前から指摘されている問題が一向に改善されないのか。その理由は簡単だ。各自治体で実施されるテストでも今回のような調査でも、結果から導かれる対策が全く同じ内容になっているからだ。これまでさんざん言われ続けてきたような対策しか打ち出さない。そして、それは記述の問題を解くための学力を身につけさせるような対策ではない。今月実施される全国学力テストでも同じ問題が指摘され、従来と同じ対策が打ち出されるだろう。
 何度学力テストが実施されたとしても、どこが実施するものであっても一向に改善に向かわない問題がある。それは、学力テストの限界を示していると考えることもできるが、学力テストが役割をきちんと果たしていないということが一番の問題だ。
 学力テストからは見えてこないものもあるが、見えてくるものもたくさんある。しかし、最初から得ようとする情報が決まっていて、そこにだけ注目する。(朝食を摂る摂らないという問題がその典型例)何をそこから得ようとするのか、そのために必要な指標や問題形式になっているかという視点も無い。だから、多くのものが見落とされている。そういうものをいくら繰り返しても導かれる結論は同じ。だから、問題が一向に解決しない。
 学力低下が危惧され、「学力調査の時代」(http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070318/1174229878)が到来した。しかし、「疑問だらけの学力調査」の結果、得点や正答率の上下に一喜一憂するだけで、「何のための学力調査なのか。調査結果は、どのように分析され、どのような知見が導き出されているのか。それらは、教育政策や教育現場の改善にどのように生かされているのか。生かす仕組みについてどれだけ考慮されているのか。」という問題は取り上げられることが無い。
 今後も、根本的な問い直しがされないならば、問題は解決されないまま残り続けることになるだろう。