自画自賛するしかない教育再生井戸端会議

【正論】国際教養大学理事長・学長 中嶋嶺雄 教育再生会議第1次報告を終えて

 私自身も委員として討議に加わり、また同会議の運営委員も任じているけれど、毎回の論議は広く深く、そして熱を帯びたものだといってよい。

 それにしても教育再生にかけようとする安倍首相の熱意と真摯(しんし)な姿勢には感心させられる。

 それにしても教育再生会議をめぐる報道は、あまりにも事実と乖離(かいり)したものが多い。教育論議は誰もが一家言をもつ課題なので、多様な意見があるのは当然である。第1回総会では委員各人が3分ずつ意見を述べたのだが、それをすぐに「百家争鳴」とか「迷走」とか報道する。

 第1次報告に関しても、それはあくまでも国民的論議のたたき台を提供したものである。しかし、マスメディアは総じて教育再生会議の動向を批判的に報じ、ひいては当面の政治がらみで安倍政権のマイナスイメージを増幅しようとする記事が多い。

 このように自画自賛しているが、あの第一次報告、議論の内容、どれを読んでも、逆さから読んだとしても、このような評価を与えることはできない。教育再生会議が「広く深く、そして熱を帯びた」議論を行っているなどとは到底思えない。
 教育再生会議の議論が熱を帯びていると言うが、それは議論が噛み合っていないからだ。また、「それにしても教育再生会議をめぐる報道は、あまりにも事実と乖離したものが多い。」などと報道が間違っているような言い方をしているが、議論をオープンにせず、外に出てきたとしても、中身の無い題目だけの議論では、批判されるのは当然こと。自分たちのくだらなさを棚に上げて言うべきことではない。
 自画自賛しなければ、評価を受けないような改革は、改悪に他ならない。さっさと教育再生井戸端会議は解散すべきだ。