協力するなと言うのではなく

学力調査も協力するな、北海道教組小樽支部が文書

 北海道教職員組合(北教組)の指導により、多くの教員が、道教育委員会のいじめ実態調査に協力しなかった小樽市で、昨年、市教委が中学1年生を対象に行った学力調査の際にも、教職員組合が文書で非協力を指導していたことが4日、明らかになった。

 北教組小樽市支部は、調査実施前に市教委から説明を受けたが、〈1〉学校間の競争をあおり、学校の序列化につながる〈2〉生徒の学力は定期テストや授業の中で十分に把握している〈3〉テストの点数で把握できる学力もあるが、それだけではない――などの理由から調査は不要と判断。各中学の「分会」に協力しないよう、文書で指示した。

という。
 まず、言わなければならないのは、教育委員会、国が行う学力テストに反対するのが間違いだというのではないということだ。教委や国がやることを教員は何も言わず実施せよということを時々主張されることがあるが、それは間違いだ。4月に行われる全国学力テストは「当然」参加すべきというような雰囲気がある。愛知県の犬山市の教委が参加しないと言っているが、あれこれとつまらない理由をつけて文部科学省などが実施させようとするのは間違い。
 学力テストは、子ども個人にとっては自分が設定された目標(テストで測ろうと考えられている学力)にどれだけ近づいているかを見る手段であり、教師にとっては授業の評価でもあり、行政にとってはカリキュラム評価の手段となる。それぞれに学力テストの意味は異なる。そこをきちんと考えないで、何もかも一緒にして、一斉にテストを行うというのは間違っている。
 全国学力テストが、なぜ悉皆調査である必要がないか。それは、行政にとってはサンプル調査で十分だからであり、子ども個々人の課題を知る必要があるなら、学校やクラスごとに必要に応じてテストを実施すればいい。
 「生徒の学力は定期テストや授業の中で十分に把握している」「テストの点数で把握できる学力もあるが、それだけではない」と北教組は言いながら、それを具体的に示さない。
 定期テストや授業で子どもの学力の課題を把握しているならば、具体的な対策を教委に示すべきだし、テストでは把握しきれない学力とは何かなどを示すべきだ。
 以前、http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20061129/1164783858ボトムアップの改革をというのを主張した。ボトムアップの改革は、今回の北教組の対応では実現しない。子どものすぐそばにいる「現場」の教員だからこそ、スローガンだけに終始せず具体的なものを示し、実施してほしい。
 最後に言いたいのは、こういうことを取り上げて様々な問題の原因が、教職員組合にあると決め付けて批判するのは間違いだということだ。