それって前提が間違っていないのか

少年非行対策「効果上げていない」 総務省政策評価

 総務省は、国や自治体の少年非行防止やいじめ対策がうまくいったかどうか過去5年の政策を評価し、「国全体としては効果を上げているとは言えない」とする報告をまとめた。30日の閣議で菅総務相が、内閣府警察庁法務省など5府省の大臣に結果を通知、政策に生かすよう要請した。

 よく、こういう政策評価では、効果が上がっていないと言っている。それは、自分たちの講じている対策の前提となっている、現状認識が間違っているというのが、効果が上がらない要因ではないか。しかし、そういうことを要因としてあげることはない。なぜだろうか。

追記

 この問題について少し付け加えておきたい。総務省が先日出した「少年の非行対策に関する政策評価書」を見ると、成果をあげていない施策として

  1. 不良行為少年への対応
  2. 初発型非行の防止対策
  3. 再非行(再犯)の防止対策

があげられている。
 ここでは、「再非行(再犯)の防止対策」について取り上げたい。評価書では、この対策の課題として評価書では、

 「非行少年を受け入れる居場所づくりなどに取り組む体制づくり」、「無職の少年に対する就労支援や就学中の少年に対する学業支援」など、これ以上非行が進まないようにするための活動を行うことが、非行少年の立ち直りのために行政が力を入れるべき対策として重要であるとする者は、いずれも90%前後いるが、当該対策がどの程度実現されているかについて、「よく出来ている」、「大体出来ている」と回答した者は、いずれも10%未満と低調となっている。実務者は、非行少年の立ち直りのために居場所づくり、就労支援等が重要であると認識している一方で、それらの対策があまり実現できていないと認識している。

ということを指摘している。
 ニート・フリーターの問題がクローズアップされる中で、本来、支援を必要とする少年たちへの支援が十分に行われにくくなっていると考えられる。宮本みち子「社会的排除と若年無業―イギリス・スウェーデンの対応」の中で宮本氏はイギリスの取り組みを紹介している。
 イギリスでは、

 若年失業は, 単に仕事がないというにとどまらず, 貧困, 社会的孤立, 犯罪や疾病, 社会保障の権利の喪失など, 重大な困難をもたらす。とくに発達の途上にあり, 職業経験を積みながら社会関係を広げていくべき年齢段階における失業は, 成人の失業とは異なる問題を生むものであった。若者が, 社会的に要求されているあらゆるものへのアクセスができない状態にあり, 社会生活上も孤立し周辺化する現象を社会的排除(social exclusion)のひとつととらえ, この状態に陥ることを防止するのが, 若者政策の重要課題となった。

と紹介している。
 もし、日本においても同様の認識があるならば、まず取り組まれるべきは総務省の評価書で十分ではないと指摘された、「「非行少年を受け入れる居場所づくりなどに取り組む体制づくり」、「無職の少年に対する就労支援や就学中の少年に対する学業支援」」であったはずだ。
 しかし、日本においては、「失業者を除外して, 「ニート」を「働こうとしていない若者」と定義したことによって, 社会的関心は, 「働く意欲のない若者」へと集中し, 若年者雇用への取り組みは, 「働く意欲のない若者」対策へとシフト」していった。これが、本来必要な支援がなかなか進まない要因となっている。
 ここで、教育の問題に目を向けたい。以前、http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20060702/1151824888で、非行の問題には直接触れてないが、学校の果たす役割について書いた。再犯防止にも学校は大きな役割を果たすことができる。
 学校は少年の非行問題についてもう一度、その役割を見直し、積極的に関わることが重要だ。学校が問題を抱える子どもを排除したり、隔離したりするのではなく、そういう子どもたちを包摂し、支援するのが学校の本来の姿だ。
 若年者の雇用の問題に対する認識を変えるだけで、異なる対策が必要であるということが見えてくる。以上のようなことから、国の取り組んでいる少年非行対策がうまくいかないのは、対策の前提となる認識が間違っているからだと結論付けることができる。