美や希望の威を借る
で鈴木邦男氏がサミュエル・ジョンソンの「愛国心は無頼漢の最後の避難所だ」について調べたことを書いている。
1775年4月7日(金曜日)。ジョンソン、66歳のときにこの有名な言葉は発せられている。
〈愛国心がわれわれの話題となったとき、ヂョンスンは突然、きっぱりした強い語調で人のど胆(きも)を抜くやうな警句を発した。「愛国心は無頼漢の最後の避難所だ。」断って置くが、彼はわれわれの国に対する高潔な真の愛を意味したのではなく、すべての時代すべての国に於いてあまりに多くの者共が私利私慾の隠れ蓑(みの)として用ひた、あの贋物の愛国心を指したのである〉
もし、サミュエル・ジョンソンが今いるならこう言うかもしれない。「美や希望は弱いものの最後の避難所だ。」と。そして、彼の弟子はこう付け加えるだろう。「断って置くが、彼は本当に弱いものに対して言ったのではなく。自分たちだけが勝ち組でありつづけることに腐心する弱い者共が私利私慾の隠れ蓑として用いた、あの贋物の美や希望を批判したのである。」と。