教育に関して無知すぎる教育再生会議はやはり要らない

教育再生会議:いじめ緊急提言 自殺連鎖は止められるのか

 毎日新聞の記事では、次のようにきちんと指摘をしている。

 「毅然とした対応」を学校に求めるのはこれが初めてではない。愛知県西尾市で94年11月起きた大河内清輝君いじめ自殺を受けて、旧文部省の「いじめ対策緊急会議」は95年3月、出席停止措置など厳しい対応が必要とする報告書をまとめた。これまで、文科省は国会答弁で、出席停止をいじめ対策として公言してきたが、実際の学校現場では、ほとんど適用されて来なかった。

 例えば、平成13年4月に少年の問題行動等に関する調査研究協力者会議が出した報告書「心と行動のネットワーク−心のサインを見逃すな、「情報連携」から「行動連携」へ−」のなかで

 学校における生徒指導体制の整備などは,これまでも繰り返し指摘されているところである。しかしながら,各学校の実態を見ると,必ずしも確実に実行されているとは言い難い。
これまでの各種提言,特に平成10年報告で示された提言が実行されていない原因としては,学校においてこうした報告が管理職や生徒指導担当教員など一部の教職員に読まれただけで全教職員に十分周知されていなかったり,問題行動に対する危機意識が薄いため,日ごろから問題行動が発生した場合に備えた体制整備等がなされておらず,実際に問題が起きたときに適切かつ迅速な対応がとれないといったことが考えられる。
本協力者会議の事例分析でも,提言が実行されていなかったため事態を悪化させたと見られるケースがあったところであり,こうしたことは改められる必要がある。

と指摘し、以下、いくつかの施策について具体的に言及している。
 義家弘介氏は、教育再生会議の会合で「具体的な解決策が示されていない」ことが、いじめ自殺の続発を招いたと指摘したという。(http://www.sankei.co.jp/news/061129/sei001.htm)しかし、毎日新聞の記事でも指摘されているように、これまで何度も具体的な施策について議論され、提言されてきた。しかし、それを実行できなかったというのが現状だ。義家氏だけでなく、教育再生会議の委員はそういう過去の経緯をほとんど知らない。
 毎日新聞の記事で現場の教員が指摘しているように、いじめの問題は、単純にこうすれば無くなるというものではない。だから、提言がでてもなかなかその提言通りにはいかない。
 教育再生会議がこれまでどのような議論を重ねてきたのか、議論の内容がほとんど公表されない現状では推測するしかない。少ない情報だけを見てもはっきりと見てとれるのは、これまでの中教審等の議論と提言、その後の施策の実施状況などについては無知であるということだ。おそらく、文部科学省もきちんと説明をしていないのだろう。また、現場を知るものが少なく、教育について研究しているものもいない。そういう状況で、いじめという難題についていくら議論をしても具体的な施策が提言できるはずがない。
 教育の問題を本当に解決しようと思うなら、教育再生会議などは解散し、これまでの経緯等をきちんと把握し、実質的な議論のできる審議会なりを早急に立ち上げるべきだ。教育再生会議は、本来ならそういう提言をすべきだ。