教育再生会議なんて要らない

教育再生会議:高まる「不透明」批判 首相肝いりも非公開

 いじめ自殺や高校の履修単位不足など教育問題に国民の注目が集まる中、安倍晋三首相肝いりの「教育再生会議」の初会合から1カ月が過ぎた。これまでに総会2回と第1分科会(学校再生)、第2分科会(規範意識・家族・地域教育再生)が各1回開催され、27日は第3分科会(教育再生)も東京都内でようやく開かれた。議論にスピード感があるとはいえず、非公開のまま進められる会議のあり方に「不透明」との批判が高まっている。

 教育再生会議がどれだけダメなものかを知っていただくために、中央教育審議会の義務教育特別部会と比較をしてみたい。
 義務教育特別部会の委員は、何度か入れ替えがあるのだけど、こういう顔ぶれになっている。ここで比較するのは顔ぶれではなく、どれくらい機能していたかということだ。
 義務教育特別部会は、

第1回(2005年2月28日)
第2回(2005年3月16日)
第3回(2005年3月23日)
第4回(2005年3月29日)
第5回及び第6回(2005年4月11日)
第7回(2005年4月22日)
第8回(2005年4月28日)
第9回(2005年5月10日)
第10回及び第11回(2005年5月19日)
第12回(2005年5月25日)
第13回及び第14回(2005年5月30日)
第15回(2005年5月31日)
第16回及び第17回(2005年6月5日)
第18回及び第19回(2005年6月18日)
第20回(2005年6月18日)
第21回(2005年6月19日)
第22回(2005年6月30日)
第23回(2005年7月5日)
第24回及び第25回(2005年7月25日)
第26回及び第27回(2005年7月28日)
第28回及び第29回(2005年8月4日)
第30回(2005年8月24日)
第31回及び第32回(2005年9月1日)
第33回及び第34回(2005年9月8日)
第35回及び第36回(2005年9月9日)
第37回(2005年9月30日)
第38回(2005年10月3日)
第39回及び第40回(2005年10月12日)
第41回(2005年10月18日)
委員懇談会(2005年11月11日)

というペースで開催されている。これらは、教育再生会議がおそらく行っている一部委員だけでの非公式会合ではなく、公式会合だ。すべての会合の議事録と提出された資料の一部が公開されているので、見ていただきたい。特別部会で話し合われたテーマは、教育再生会議が議論するとしているテーマにも劣らないはずだ。また、教育再生会議が出すという「緊急提言」に盛り込まれているようなことがもう既に議論されていたことにも気が付いてもらえるはずだ。
 教育再生会議の関係者は一様に「スピード感を持って検討し結果を出していく」と言うようなことを言っていた。それがどうだろう。「緊急提言」を出すと良いながら、内容は自分たちで考え、緊急にこれは提案しなければならないということで出すというような内容の提言ではない。他人が考えたものをつまみ食いしただけの駄作だ。
 教育再生会議が発足した後、中央教育審議会の実質的な審議は行われていない。教育再生会議の議論を待つという方針だからだ。しかし、それは間違っている。機能していない諮問機関など無視して、中教審自体の組織の改編を行って、これまでの審議を踏まえて教育の問題について議論できる、実働部隊を編成すればいい。そこでどんどん議論し、世間に公表し、批判をしてもらえばいい。
 機能しない諮問会議は税金と時間の無駄。経費節減が叫ばれている今、そういうものをいつまでもやっている必要はない。教育再生会議はすぐにでも解散すべきだ。
 教育は様々な問題が山積していると言いながら、何にもならないような諮問機関をつくってどうするというのか。教育の問題に本当に取り組む気は無いのではないか。教育再生会議は教育を再生させるためにあるのではなく、教育の再生を滞らせるために存在している。何度も言っているように、そんなものは要らない。早く解散し、中教審の改編と実質的な審議を早期に開始すべきだ。