数字だけを見ない

いじめ:独自の認定基準で3倍近い件数 青森・五所川原

 独自の基準を設定したことで、いじめだと認定された件数が増えたという話。だからどうしたというのだろうか。いじめだと認定されたとして、その後具体的にどのような対策を講じ、どの程度いじめを解決できたのか。そっちの方を報道するべきだ。
 統計上いじめの件数が増えることと、いじめへの対応がきちんとできているかどうかは比例しない。もっと言えば、いじめの件数が多いということは、いじめを未然に防止できていないということを明らかにするようなもの。自分たちは無能ですと公表するようなものだ。
 いじめに対処する上で必要なのは、個別にきちんとした対応をとることで、いじめの基準が適切かどうかじゃない。いじめの基準を設定したり、マニュアルを作っても、個別の問題にきちんと対処できなければ意味がない。マニュアル通りにやりましたけどで済む話ではないのだから。
 統計に現れてこない部分の取り組み、つまり、未然防止の取り組みはほとんど進んでいないのが現状ではないか。それは、いじめが発生した後の対応に注目が集まっているからだ。統計の数字が正しいかどうかに気をとられているから、基準を変えて件数が増えたなんていうことが報道される。こういうことを続けているかぎり、いじめを減らすことも無くすこともできない。