なぜ導入するのか それが見えてこない

教育改革:「教育バウチャー」、子ども園での導入検討−−下村氏ら

 下村博文官房副長官池坊保子文部科学相は13日、首相官邸で会談し、自由に学校を選べる教育バウチャー(利用券)に関し、幼稚園と保育所の機能を持つ「子ども園」での導入を検討することで一致した。保護者が施設と直接契約を結ぶ子ども園では、バウチャー導入論が高まる可能性もある。10月にスタートした「認定子ども園」制度の認定を受ければ、保護者は直接施設に申し込み、利用契約を結ぶ方式となる。

 このような短い記事で、バウチャー導入の理由がどこにも書いてないから、導入する理由が見えないと主張するのではない。教育バウチャーについてのこれまでの議論を見ても、教育バウチャーを、なぜ「子ども園」に導入するのかという理由は見えてこない。なぜならば、子ども園は親の選択が小・中学校のように制限されているとは言えない。また、公立の子ども園より、私立の子ども園の方が圧倒的に多くなるだろうと考えられ、そこには市場原理が機能する。この二点を考えてみると、教育バウチャーを導入する理由はない。
 単に子ども園への教育バウチャーの導入で既成事実をつくり、それ以外にも拡大していきたいというねらいしか見えてこない。必要のないもの、導入しても効果がないものに教育バウチャーを導入するのは間違っている。教育バウチャーを導入しさえすれば良くなるという短絡的な考え方しかここからは見えてこない。