浅はかな教育改革

学力テストで予算に差 足立区教委、小中学校4ランクに

 東京都足立区教委は、区立小中学校に配分する07年度予算で、都と区の教委がそれぞれ実施している学力テストの成績に応じて各校の予算枠に差をつける方針を固めた。小学校計72校、中学校計37校をそれぞれ4段階にランク分けし、最上位は約500万(中学)〜約400万円(小学)、最下位は約200万円にする予定。都のテストで同区が低迷していることなどから、学校間競争をさらに促す必要があると判断した。

 これは、学校格差をさらに推し進め、また、自分たちよりも下の存在を生み出すことで安堵するということにしかならない。
 まず、予算の傾斜配分は、上位校と開校との格差をさらに拡大し、固定化することに他ならない。なぜなら、開校ほど資源を投入すべきであるのに、そこへの資源の投資を削ることになっているからだ。それは、格差をさらに拡大することになる。また、予算が削減される下位校から増額される上位校へと子どもが自由に移動し、それを受け入れる体制が整っていなければ、その格差は固定化されることになる。
 もう一つの問題も指摘しておきたい。こういった政策は、自分より下の存在がいるということを明確に意識させられることで、そこに自分は行きたくないという意識を持たせ、さらに、自分はそういう人たちとは違うという意識を生む。その結果何が生まれるか。「自己責任」の強調とそういうところへ税金などを投入することへの批判だ。格差が拡大し、固定化することで自分の安全を確保し、より自分のために資源が投入されることを望むようになる。
 足立区は、なぜ都のテストで同区が低迷しているのかきちんと理解していない。だから、こういう浅はかな教育改革を実施しようとしている。