教員を抵抗勢力に仕立て上げる人たち

中川・自民政調会長:「日教組の一部、免許はく奪だ」

 自民党中川昭一政調会長毎日新聞のインタビューで、教員免許の更新制度に関連して「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」としたうえで「下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許はく奪だ」と述べ、教員の組合活動を強く批判した。

首相の改革支援「教育再生機構」 官邸側の思惑とズレも

 「抵抗勢力になるのは文部科学省や教職員組合などでその兆候は見られている。官邸主導の教育改革で官邸を孤立させてはならない」
 タウンミーティング冒頭、八木氏は日の丸を掲げる壇上で安倍首相支持をアピールした。

 以前、ABEDAYに思うで次のように指摘したことがある。

 安倍氏が政権についてまず起こることは、教員に対する批判だろう。こんなダメな教員がいる。こんな偏向した教員がいるなどという批判が強まるだろう。そして、安倍氏やその周辺は、その「悪役」である教員を排除し、教育を「正常化」するということで自らを「正義の味方」として演出し、支持を集め、本当の問題から人々の目を背けさせ、教育改革を進めていくだろう。小泉首相の「劇場型政治」がここでも繰り返されることになる。

 いじめの問題を教員の問題へと矮小化することで教員への批判はさらに高まっている。安倍内閣は、教員批判の勢いを利用して教育基本法の改正案の採決を行う可能性が高い。

 しかし、そういう流れを止める手だてはある。その一つは、教員が徹底して子どもと保護者、地域の人たちと真正面から向き合い、話をし、協力していくことだ。教員は改革によって抑圧された悲劇の主人公を演じるのではなく、とにかく、問題に取り組む姿勢を見せ、取り組みを実際に進めていくことだ。そうすることで、安倍氏やその周辺の、教員と子どもや保護者などを対立させるという目論見は外れることになる。
 安倍氏の推進する教育改革はムードが先行する。実証的なことはほとんどなく、ムードだけで進められる。どうもこういうことがあるらしい。こんなことあるはずがない。そういうものが政策立案の「根拠」となる。安倍氏やその周辺の言動を見る限り、実証的にやるという姿勢はほとんど見えない。
 だから、そのムードの盛り上がりを阻止する必要がある。そのためには、繰り返しになるが、教員と子ども、親との連携を強め、目の前にある問題の本質を明らかにし、その問題解決に地道に取り組んでいくことが必要だ。
 教育正常化などというスローガンだけの教育改革に流されないように、足下をきちんと固める。それが必要なのかなと思う。

 教員はいじめの問題で萎縮している。しかし、今はそういう場合ではない。自分が担任している子どもや親とまずは対話をし、自分たちのことをきちんと理解してもらうことをまずやるべきだ。そうすることで、信頼を取り戻すことが先決だ。
 イギリスでは、ナショナル・カリキュラムの導入などの際に、教員と保護者などが協力して反対した。サッチャー政権は教員と保護者とが協力して批判するとは考えていなかった。なぜなら、両者は対立すると考えていたからだ。サッチャー政権の思惑は見事に外れた。今回も、安倍政権の思惑を外し、教育改悪の動きを止められないとしても鈍らせるために、教員と保護者との信頼関係を強化すべきだ。