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米国の数学教育に警鐘、「楽しさ」と成績は別物と

 ワシントン(AP) 楽しくて身近な数学を、生徒が自信を持って学べるように――。全米の数学教師たちが心を砕いてきた授業方針が、実は必ずしも良い成績につながらないとの研究結果が報告され、波紋を呼んでいる。世界各国の統計を比較すると、生徒たちが数学について「楽しくない」「自信がない」と感じている国ほど、むしろテストの成績が良い傾向がみられるという。
 この研究は、世界各国の小学4年生と中学2年生を対象に算数・数学の問題と好き嫌いなどの質問への回答を求めた03年の調査に基づいて、米シンクタンク、ブルッキングズ研究所のブラウン教育政策センターが実施した。調査結果を分析したところ、特に中2のレベルで、意外な傾向が明らかになったという。
 「数学は楽しい」と答えた生徒の率が高かった上位10カ国は、いずれも成績が平均以下。逆に下位10カ国は、全て優秀な成績を出していた。また、数学を日常生活の場面に結び付けて教えようとしている国ほど、成績が悪いことも分かった。生徒が「数学は楽しくない」と答えながら、テストで好成績を示した国の例としては、日本、香港、オランダが挙げられる。一方、米国は「楽しさ」、成績ともほぼ中位だった。シンガポールで「数学に全く自信がない」と答えた生徒のグループと、米国で「数学に非常に自信がある」と答えたグループを比較すると、シンガポールのグループの方が得点が高いなど、生徒の自信と成績が一致していないことを示すデータも得られたという。

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