谷垣禎一議員の政策(教育分野)

 谷垣氏の政権構想からの引用

3−1.「人」をつくる
 日本の魅力を高めるために最も力を入れるべきことは、「人」をつくることである。それが政治の基礎である。
 日本人はもともと勤勉で文化水準も高く、礼節を重んじる国民である。我々はこれまで信頼できる社会システムを構築することで、こうした日本人の特質をうまく引き出すことによって社会や経済を発展させてきた。しかしながら、90年代の経済の低迷、それに伴うリストラなど働き方の変化、求められる人材像の変質、日本をとりまく状況の変化、国際競争の激化は、多くの日本人の自信を失わせ、これまでの働き方にも教育の在り方にも疑問が投げかけられるようになった。
 だからといって欧米流の教育や働き方をそのまま移植すればいいとは私は考えない。我々はここで一旦立ち止まり、本来存在する日本人の素晴らしい本質を最大限に引き出し、その魅力を最大限高めるべきではないか。
 例えば、技術や能力を磨き、人と人とがお互いに競争し、あわせて協調することを通じて、各々が持つ個性が伸び伸びと発揮され、元気な日本が実現する。資源のない日本にとって、勤勉でよく働き、チームワークが得意で応用力に優れた国民性は貴重な財産であり、これを今後とも育んでいかねばならない。
(教育の再生)
 そのためには、教育が最も重要な役割を果たす。
 我が国で教育の危機・荒廃が叫ばれて久しい。教育の再生こそ、次期政権が真っ先に取り組む課題である。今も全国の小学校で漢字や九九の学習で行われているような徹底的な反復学習を義務教育全体にわたって行い、まず基礎として覚えるべきものは確実に覚えさせることによって基礎的能力を引き上げる(「読み書きソロバン世界一プロジェクト」)ことがまず第一であり、そうした土台の上に、詰め込み教育ではない、自分で考える力・生き抜く力を養う教育、現実の社会を見据えた教育を目指す。あわせて、スポーツ、科学技術、文化、政治・経済などあらゆる面で、専門性や創造性の涵養を図り、世界の舞台で活躍する国民を育てていく必要がある。これには、サッカーやフィギアスケートにおいて行われているような、極めて優れた素材を見出す体制の整備、そうした素材に英才教育なかんずく世界レベルの実戦経験を積ませる仕組みの構築、優秀な指導者を組織的に育成する体制づくり等をそれぞれの分野で行っていく必要があるだろう(「野口さん&イチロー育成プロジェクト」)。
 その際重要なことは、「個」を尊重しつつも「公」の精神を大切にする日本人を育てることである。
 そして、教育の質を高める努力を不断に進めていかなければならない。そのためには、真にそれぞれの地域が主体となって教育を担っていくことが必要ではないか。私が子供のころは、例えば、いたずらすれば町のおじさんにおこられたり、怪我をしたら近所のおばさんに絆創膏を貼ってもらったりして、地域の人々の眼差しの中で、いわば地域に育てられたという気がする。現在は、核家族化が進み、こうした町ぐるみ、地域ぐるみで子供を育てていく環境が失われつつある。であればこそ、地域・町と学校とが一体となって子供の教育を担っていく制度設計が必要となると考える。基本的なカリキュラムなど教育の根幹は国として責任を持ちつつ、学校理事会などの制度を工夫しながら取り入れ、家庭や地域が学校運営に積極的に参画し、地域や環境に応じた独自の取組を行うこと、地域の眼差しの中で子供を育てる工夫をしていくことが教育の質の向上に繋がるのではないか。
 また、社会人を含む多様な教員を採用し(「絆学校」)、逆に教員も社会に出て実社会の経験を積む(「先生修行制度」)ことも必要だろう。大学も今以上に、社会人の講師を増やし、社会人教育や産学連携を強化し、社会との関わりを深めることが求められる。