教育委員会を形骸化させたものは

≪解答乱麻≫教委廃止より運用正せ

 細川珠生氏は次のように述べている。

 政府も「規制改革・民間開放推進会議」で教育委員会のあり方を議論してきた。これまでに第1次、第2次の答申が出され、7月には第3次答申が出される予定だ。国家予算編成の主導権を握る経済・財政諮問会議の今月7日の会議でも「緊急対応すべき規制改革の重要課題」として教育委員会制度のあり方が位置づけられている。その目指すところは「児童生徒・保護者本位の改革」だそうだ。教育委員会を廃止し、首長部局にその組織を置くことで、教育内容が劇的によくなり、立派な日本人がつくられるようになるのだろうか。

 確かに、劇的に良くなる保障は何もない。そして、

 住民から選ばれた首長が住民から選ばれた議会の承認を得て任命した委員によって構成されている教育委員会が、首長部局から独立していることにより、政治的中立性を保ち、教育内容の中立性を保つことができるという現行制度のどこが問題なのだろうか。教育委員と事務局との間に緊張関係があれば、単なる追認機関にもなり得ない。逆に首長部局に置かれれば、首長次第では偏ったイデオロギーや宗教が教育現場に持ち込まれる可能性もある。

細川氏は述べている。現行の首長が選び、議会が承認するという制度が形骸化を招いた大きな要因だ。また、「政治的中立性を保ち、教育内容の中立性を保」っていると言える教育委員会がどこに存在しているのだろうか。政治的バランスを欠き、教育内容に立ち入るようなことをやっているのではないか。埼玉県の戸田市の例など例を挙げようと思えば幾つも挙げることができる。戸田市の例は特殊な例では決してない。教育委員会と行政は一体で、独立などしていない。それを形骸化と言わないのだろうか。
 現行の「制度」を変えなければ根本的な問題は何ら解決しない。教育基本法の改正によってさらに形骸化することは目に見えている。