好き嫌いと意欲

意識調査:「勉強は好きですか?」 小5で54.6%、中2で20.4% /岐阜

 アンケートによると、「勉強は好きですか?」の設問には、小5は「そう思う」「どちらかというとそう思う」が54.6%と半数以上を占めた。だが、学年が上がるごとに割合は減り、中2では20.4%にとどまった。また、学習意欲を問う設問では、小5で「たくさんある」「少しある」が80.5%だったのに対して、中2では66.9%に減少していた。
 学習の目的(複数回答)には、小5は「新しい知識や考え方を学ぶため」(77.5%)「将来、世の中の役に立つため」(76.3%)といった意見が上位を占めたのに対し、中2では「希望する職業につくなど夢をかなえるため」(83.7%)「受験に合格するため」(73.6%)といった現実的、利己的な意見が上位を占めた。

 私は勉強は嫌いです。しかし、学ぶことは好きだし、これからもつづけていきたいと思う。このアンケートでは私のような意見は反映されない。第一、学習意欲を問う設問で「たくさんある」とか「少しある」なんて項目を選択させるというのがよく理解できない。たくさんって何を基準とするのか。
 学習の目的で「現実的、利己的な意見が上位を占めた。」と書いてあるが、受験や就職を控えた子どもの意識としてはごく普通のこと。また、そういう意識を強くさせるような「学力低下」「ニート・フリーター」へのネガティヴキャンペーンが行われ、恐怖感などが煽られるような状況があるのだから仕方のないこと。この結果から、最近の子どもは自己中心的で利己主義だということは言わないで欲しい。そういうキャンペーンをやっている側の大人の方が自己中心的で利己主義なのではないか。
 最後に、学習意欲を喚起すると言うけれど、それがなかなかうまくいっていない。その要因の一つは次のようなことに目を向けていないこと。メグ・マグワイア スティーブン・J・ボール シーラ・マクリー (中村浩子) 「イギリスの教室をとりまく文脈‐構造化されたアイデンティティの役割」 からの引用。

 こうした教育と職業の連結から来る一つのジレンマは、教育がもっぱら、今日若者に与えられている経験の質と学校教育のプロセスよりもむしろ、結果と「将来性」に照準をあわせているところにある。そしておそらくこうした「結果」としての労働市場を志向する一つの帰結として、「やる気をなくした学習者たち」が生み出されている。彼らは正規の教育の厳しい要求に今のところは応えられず‐義務教育経験によってときに容赦なく傷つけられた「学習者アイデンティティ」(Rees, 1997)を携えているかもしれないのである。