内から外へ、外から内へつなぐ

 理科離れ、数学が嫌いなどが問題になっている。そこで、まずは子どもに理科や数学などへの関心を高めてもらおうという取り組みが行われている。そういう取り組みを眺めながら思うことがある。
 理科や数学に限らずどの教科の学びも、教室の内から外へとつなげる学びが大半で、外から内へつなぐ学びが少ないのではないだろうか。PISAの「リテラシー」の概念は教室で学んだことを外で活かす能力であると考えられる。その能力を伸ばすために必要なことは、教室の中から外へつなぐ学びではなく、外から内へつなぐ学びではないだろうか。
 子どもが教室の外から様々なものを持ち込んでくる。それを教師は拾い上げて学びへとつなげていく。それは教師の側から見れば子どもの持ち込んでくるものと教科書などの学びとの間には大きな隔たりがあって結びつけるのは難しいと感じるだろう。それを子どもの側から見れば、その隔たりを埋めていくことで様々なことを学ぶことになるし、それが結果として内から外へと結びつけることを学ぶことになる。
 既に教材化されたものがいくらでもある。それは、大人が試行錯誤をして作り上げたもので子どもの学びも豊にしてくれる。しかし、それはもう既に構造化されているから子どもは自分で構造化する必要がない。子どもは構造化の過程は学ぶことができない。
 教材はある程度構造化されている必要がある。それは、自然や社会にあるそのものを子どもに学ばせようとしても難しいし、学びが深まらずに拡散することになるからだ。しかし、子どもが構造化する余地を多く残しておくべきだ。
 そして、その教材の元になるものを子どもたちが外から教室へ持ち込めるような学びの空間。そういう空間を作り出すこと。それが教師の役割でもある。