あれもこれも盛り込めという人たち
関西経済同友会の松下正幸、森下俊三両代表幹事らは15日、大阪市を訪れた小坂憲次文部科学相と懇談し、教育基本法の早期改正を求める意見書を同相に提出した。
意見書は、「愛国心」を巡る文言について、与党が13日に合意した「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」に賛成しつつ、尊重すべき点に「歴史」も加えるよう求めた。また、同法に「道徳教育」に関する条項を設けることも提案。家庭の保護者が道徳教育を担う責任をはっきりさせるよう要望した。
あれもこれも何でも教育基本法に盛り込めなどと言うのは、「基本法」とは何か。どのように位置付けられるものか。そこがきちんと理解できていないからだ。
また、教育基本法に盛り込まれていないから道徳教育がおざなりになっているなどという認識を持っているなら大きな間違いだ。教育基本法に盛り込まれていなくても本当に必要な教育はいくらでも実施できるし、そうなるはずだ。道徳教育に否定的な立場の人がもし、教育基本法に盛り込まれてないから道徳教育は必要ないなどという主張をしているならそれは大きな間違いであると指摘すればいい。
学習指導要領にあれもこれもと盛り込もうとするのも同じだ。学習指導要領や教科書にいくら記述があっても、その記述から何を学び、どう育っていくかは子ども一人一人異なる。それさえも認めないというのだろうか。
教育基本法を改正しようとする人たちは、単に教師や学校、教育に関わる様々なものを基本法という根本のところで規制したいだけだ。そういうなかで地方分権とか現場への権限委譲などといくら主張してもそれは全くのでたらめだ。単に狭い規制の中で自由に動いているだけなのだから。
与党案では様々なことが新たに盛り込まれようとしているが、藤田英典氏が言っているように基本法に盛り込まれていないからといって不都合が生じているわけではない。
自分たちにとって不都合なものを排除しやすく規制しやすくすること。それが教育基本法改正の大きな目的ではないか。そういう目的で改正するなど間違っている。