本当にやらなければならないことは何か

東京・品川区が小中一貫校 「中1ギャップ」解消目指す

品川区の小中一貫校「日野学園」が開校

品川「4・3・2制」始動、区立の全校小中一貫に

品川区で全国初の公立小中一貫校が開校

 これらはすべて公立の小中一貫校が開校されたという記事。今回は小中一貫校や中高一貫校などについて少し書いておきたい。
 「中一ギャップ」や「小一プロブレム」などはすべて学校段階が上がっていくときの問題だ。小中、中高、高大、大学から社会すべてにおいて何らかの問題を抱える子どもがいる。それは至極当然の話で、以前から繰り返し問題が指摘されてきた。しかし、実際にはきちんとした対策がとられてこなかった。
 では、そういう接続における問題は「一貫校」にすることで解決できるのか。それは解決できる面もあれば解決できない面もある。
 例えば、新しく入ってくる子どもに対して、教員や子ども同士の支援があれば、問題を抱えた子どもが放置されたり、問題を深刻化させる前に解決を図ったりすることが可能になる。しかし、それは一貫校にしなくても教員一人あたりの子どもの数を減らしたり、子ども同士で支援するような仕組みを作ることでも可能だ。
 また、カリキュラムを9年間を一貫として捉え、組み直したりすることは一貫校でなくても可能。また、指導方法などの変化については教員間の情報共有などをやっていくことでも対応は可能。
 このように一貫校にすることでしかできないことはそれ程多くない。一貫校にしたということだけで満足し、様々な方面からの対策が十分に取れなかったりということが懸念される。一貫校というのが「ブランド化」している今、そういうブランド化の効果を狙った安易な一貫校設置も懸念される。
 「中一ギャップ」や「小一プロブレム」というような問題は、誰にでもあり得る問題で、学校段階の変化だけでなく学年が変化したり、環境の変化があった場合には起こりうる問題だ。大切なことは、変化が起きたときに教員などは子どもに特に気配りをするとか、カリキュラムを変更するとか、そういう対応がきちんとできるということ。
 「一貫校」にしたとしても日常的な取り組みや多面的な取り組みができていなければ、「一貫校」はただの「進学率の高さ」「学力」などを売りにした学校になる。そうなってしまえば、「中一ギャップ」などの問題は解決されずに深刻化することになる。
 「一貫校にする必要が本当にあるのか」「あるとすればなぜか」「そのためにすべきことは何か」それらをきちんと問うていくこと。そして、答えていくこと。それが今一番必要なことだ。