期待と誤解と

07年度学力テスト:保護者の7割が評価 PTA協調査

文部科学省が07年度から小学6年と中学3年全員を対象に実施を目指している全国学力テストについて、保護者の7割弱が実施を評価する一方、「子供の学力向上につながる」と感じる人は3割強にとどまったことが、日本PTA全国協議会の調査で分かった。

 全国学力テストについて理解が不足しているというならまずやるべきは、実施を先送りすること。実施までの期間が短いのに学力テストに関する議論を終えて広報しても理解不足の解消には時間が足りない。学力テストについては期待感だけが先走っていて、断片的な情報が流されている。そういう状況の中で学力テストが実施されても混乱を招くだけだ。
 考えて欲しいのは、子どもの学力を把握し、子どもの学力を向上させるための対策を立てるのに、全国統一でテストを実施する必然性がどこにあるのかということ。全国学力テストは教育行政の評価のために実施される。それは個々の子どもの問題まで把握するためではない。しかし、全国学力テストは子どもの学力向上ということばかりが強調され期待を大きくしている。
 その期待に答えるなら一番身近なところでやっていくべきだ。全国の順位を知ってどうするのか。それでその後の対策が立てられるのか。違うだろう。テストのどこで間違ったか。どのように間違えたのか。それを詳細に見てこそ対策が立てられるのではないか。
 学力テストについてはもう少し時間をかけて議論し、理解を深めることが必要だ。全国学力テストの実施を遅らせても子どもの一番身近なところできちんとできていれば何の問題もない。急ぐ必要はない。学力低下というムードに流されないでもう少し冷静になってみるべきだ。