未来を描こうとしない日本の教育

IEA国際数学・理科教育動向調査の2007年調査(TIMSS2007)

 TIMSS2007の結果が発表された。結果は予想と大きく外れていない。TIMSSは元々いわゆる「東アジア型の教育」と相性が良い。それはhttp://sankei.jp.msn.com/life/education/081210/edc0812100014002-n1.htmでも指摘されている。
 30年くらい前の日本ならTIMSSの結果は今回の他の東アジアの国々と同じような結果になっただろう。それでは,当時に時間軸を戻せば良いのだろうか。そうではないと思う。
 おそらく,今回の結果を受けて,いつものように「ゆとり教育」か「反ゆとり教育」かということが言われたり,「基礎重視」という「ドリル一辺倒」や「暗記主義」が主張されるだろう。その繰り返しから早く抜け出すべき。
 考えなければいけないことは,日本がどういう方向に進んでいくのか。そのために教育政策をどうするのか。未来をどう描くかということ。PISAの結果が発表されれば,いわゆる「PISA型学力観」が礼讃され,TIMSSの結果が発表されれば「TIMSS型学力観」が礼讃される。そこには,社会から教育を考える。教育から社会を考えるという視点はない。また,日本の未来をどう描き,そこから教育政策をどう描くかという視点はない。ただ,ランキングを気にして,そこで高い位置をいかにして占めるかということに終始している。日本の未来をどう描くのか。そこから教育政策をどう描くのか。そこを考えるべき。