日本の学力調査はすばらしいのだろう

 日本の学力調査はすばらしいものなのだろう。PISAなどは参考にすべきかもしれない。その理由は,なぜそれが調査結果から分かるの?と思うようなことが結果を見れば分かるという主張が当たり前のように語られているから。
 日本テスト学会はテスト規準で

テスト利用者は,利用に先立ってテスト設計の意図,尺度得点の意味,テスト結果の解釈法などを理解しておかなければならない。

テスト利用者は,テスト開発において想定された受検者層の範囲を超えて実施しないように,また,テストの手引で指示されていない過剰な解釈をすることがないよう留意する。

学校教育,企業内教育,臨床診断,カウンセリング,職業ガイダンスなどにおいて,受検者にテスト結果を伝える場合には,テスト結果が受検者に適切に解釈されるよう努める。利用者は,そのために必要な知識や技能を事前に修得しておく必要がある。

としている。
 また,

テストの品質を検証し,また改善の方向を見出すために,テスト結果の統計情報が公開され,活用されるべきである。

ということも規定している。
 学力調査の結果の公表が主張されながら,その結果が「過剰な解釈」がなされないための方策は検討されていないし,検討の必要性も自覚されていない。学力調査の結果が,学校の評価や教員の評価にも利用できるとする「過剰な解釈」がまかり通るのはそのためだ。
 学力調査の結果がすべて公表され,「過剰な解釈」がまかり通るなら,調査の意図から大きく外れたものへと変わり,意図しない結果を導き出す。安易に結果公表を望む前に,それを考えてほしい。