全国学力テストに何を見ているのか
全国学力テスト、29日に結果公表
全国学力テストの結果が公表される。おそらく,昨年と同じようにマスコミは都道府県のランキングを報じ,昨年と同様の分析をし,各地域の教育委員会や文部科学省も同じように驚き,喜び,嘆いてみせるだろう。そして,また昨年と同様の反応が寄せられるのだろう。そして,http://sankei.jp.msn.com/life/education/080817/edc0808170251000-n1.htmのように学校を評価できる,教師を評価できるという根拠のない主張に戦々兢々とする現場。全国学力テストというものに彼らは何を見ているのだろうか。
池田央氏は,「指導と評価」2008年8月号で
いままでのようにテストデータを相互に比較し,そこから意味をくみ取るという経験と機会が乏しかった時代,そしてテストが示す数字の意味を真剣に考える必要の無かった時代には無頓着なままで過ごされてきたが,これからはPISAや全国学力調査の例のように,数字で示されるテスト結果がいろいろな形で提供されてくる。そうなれば,信頼性や妥当性をはじめ,尺度の共通性,比較可能性などの配慮なしに,出された数値の大小だけを比較して議論されると,逆に間違った判断をしてしまう危険のほうが大きくなる。それを防ぐためには,学校教育や教員研修でも,テストリテラシーを高める実地研修の場をもっと増やすことが必要になってくるであろう。
と述べている。
マスコミを中心にして「信頼性や妥当性をはじめ,尺度の共通性,比較可能性などの配慮なしに,出された数値の大小だけを比較して議論される」現状を変えていく必要がある。「テストデータを相互に比較し,そこから意味をくみ取るという経験と機会が乏しかった時代,そしてテストが示す数字の意味を真剣に考える必要の無かった時代」はいつまで続くのだろうか。