デマと誤解で満たされた「ゆとり教育」からの脱却

 新学習指導要領が「ゆとり教育」からの脱却だとか転換だというマスコミの報道。それはデマと誤解に満ちている。
 授業時数の増加にしても,教える内容の増加にしても,それが学力向上につながると期待され,そう「確信」している。けれども,それはいったい何処でどのようにして実証されたのか。その期待や確信の根拠は何か。
 もし,これからそれは実証されるのだというなら,それは「ゆとり教育」と変わらない。「ゆとり教育」もそうやって始まり,検証もないまま脱却だ,転換だと言われているのだから。
 「ゆとり教育」に関して,未だに円周率が「3」とかいうことが出てくる。マスコミも「3.14」の復活などという。デマが未だにデマとして認識されていない。
 「ゆとり教育」がもたらした,もっとも貢献したことは「教育」についてデマであるかどうか,根拠の有る無しに関わらず,「ゆとり教育」とは逆のことといえばそれが無批判に歓迎されるという状況を生み出したこと。
 デマと誤解で満たされた「ゆとり教育」からの転換,脱却という今の状況は,教育政策がこれからも検証も無く,場当たり的に進められていくことを意味している。そして,それを検証することもなく,場当たり的にそれが評価されていくことを示している。