牽強付会

産経抄】10月26日

 大村はま氏の「優劣のかなたに」という詩は,産経抄が取り上げられているような意味で解釈できるだろうか。

24日に文部科学省が発表した全国学力テストの結果をみると、都道府県の間でかなりの差が出た。どこの県が何番目とかまびすしい。そうかと思えば、序列化が進むから、やめてしまえなどと乱暴な意見もある。

 産経抄は優劣にこだわっている。大村氏は

優劣を論じあい
気にしあう世界ではない

と同詩の中で述べている。学力テストを優劣をつけるために,優劣を競うために利用しようといっているのは産経抄である。大村氏の詩の意図など微塵も理解していない。
 また,

成績の優劣に一喜一憂する必要はない。低かった地域や学校は、原因を探り対策を急ぐだけのこと。そもそも43年間も全国調査を実施しないで、データなしで教育行政が行われてきたことの方が問題だった。学力向上のために、大村単元学習も大いに取り入れてもらいたい。

とこれまた自分たちの都合だけでものを見ている。「43年間も全国調査を実施しないで」というが全国的な抽出調査はこれまでも行われてきた。しかし,その結果が教育行政に反映されなかったというのが現実であり,全国を対象にした悉皆調査が無かったことによるものではない。また,データに基づかない教育行政など日常茶飯事であり,教育再生を主張する方々でさえ,思いこみや都合だけで教育改革を主導している。
 産経抄が,大村氏の詩をこうしたことに利用するのは「牽強付会」と言う外ない。