あるある

【解答乱麻】明星大教授・高橋史朗 欠落した「家庭の大切さ」

 この中で高橋氏は,

脳科学に基づく親学」

というフレーズを使っている。これは高橋氏がよく使うフレーズだ。教育再生会議も同じフレーズを使っていた。
 先日次のような論文を見つけた。

加藤忠史 「脳を鍛える」ブームの根底にあるもの 教育學研究 Vol.74, No.2(20070629)

 この論文の抄録

昨今、「脳を鍛える」がブームになっている。これは、音読・計算が脳を「活性化」させるとのデータに基づいている。しかし、「活性化」という言葉の実態は、単に血流増加を示し、ストレスや痛みでも脳は「活性化」するのであるから、「活性化」=プラス効果、という判断は問題がある。グルタミン酸による神経の「興奮」という生理学用語に価値判断を持ち込み、ご飯にグルタミン酸をふりかけることが流行ったという過去に学ぶべきであろう。計算中の脳血流増加には、計算そのものの他に、注意、情動、ストレスなどの多様な要因が関与する点も注意を要する。また、どのようなゲームでも練習すると上手になるが、その成績改善が認知機能全般の向上につながるかどうかは慎重に検討する必要がある。今後、脳科学からの問いかけに対し、教育界が沈黙することなく、議論を進めていくことに期待したい。

 高橋氏のいう「脳科学に基づく親学」というフレーズと加藤氏の論文で取り上げられている「脳を鍛える」というフレーズはよく似ている。
 両者に「あるある」なもの。それは,「脳科学」の成果を都合よくつまみ食いしてもっともらしく見せているということ。こうしたものには気をつけたいなと思う。