親や教師を批判して解決する問題ではない

闘論:「クレーマー」の親 小野田正利氏/向山洋一

◇警察の協力も必要 恐喝罪などに相当−−元小学校教諭・向山洋一

 クレーム増加の背景に教師の指導力不足があることをまず、指摘したい。ほとんどの教師は机にひんぱんに目を落とし、子どもの注意を引きつけられない。教科書も満足に使えない教師もおり、あまりに力不足。いじめを早期に発見するすべも持たない。親のクレームには、担任への文句も多いが、親が教師に不信感を持つのも理解できる。

 一方で、かつてなかった無理難題に近い抗議が来ているのは事実だ。「学校では鉛筆ではなく、シャープペンを使わせたい」と強硬に主張し、引かない。担任の指導に疑問を持ち、教室に連日乗り込んで「こんな先生の授業は受けるな」と叫ぶ母親もいる。明らかな授業妨害だ。

 家庭で担任の悪口を言い続ける親もいる。子どもは先生に不信感を持ち、授業に耳を傾けなくなり学級崩壊に至る例がある。「教師を辞めろ」という執拗(しつよう)な抗議で教職を退いた、という事案も私の元に届いている。金銭要求する親もいるという。

 こうした保護者は「クレーマー」と称されていたが、私は「モンスターペアレント」と呼ぶ。長時間怒鳴り散らし、昼夜構わず電話をかけるモンスターによって、学校は壊れつつある。常軌を逸した親のクレームが、授業や教育活動を滞らせているのは明らかだ。このままでは、教師の成り手はもちろん管理職の志望者も減っていく。

 半年前、私の学習指導法を実践する各地の管理職教員に、「最寄りの警察署で親のクレームについて相談してほしい」と要請した。そこで分かったのは、親のさまざまな行為が、恐喝や威力業務妨害などの罪名に相当するということだ。悪質な事案には、弁護士や警察権力で対応する時期に来ているのだ。

 親のクレームに対しては、段階を踏んだ対応が必要だ。まず校内で、親と教員が話し合いを重ねる。例えば5時間過ぎても折り合わなかったら、教育委員会がつくった教育相談室で校長OBが対応する。解決しなければ、弁護士や警察の出番になる。うつ病発症や辞職者が出ている現状では、学校だけで解決できない。東京都港区では弁護士の相談制度も導入され、ほっとしている教員はかなりの数に上るだろう。【構成・山本紀子】

 向山氏の主張には全く賛同できない。向山氏は問題をただ矮小化しているだけだし,威勢よく教師も親も批判して見せることでこの主張を読む側の溜飲を下げることにはなっても問題の本質に全く踏み込んでいない。こういった主張がこの問題の解決に寄与するとは思わない。