まずは誤解を解くところからはじめる

 例えば、http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-793.htmlでは組合批判をされている。その中で、

無論、学力テストは、学習指導要領に沿った教育がどの位、児童・生徒に達成されるか見るものであり、その結果が市町村単位まで公表されることによって、初めて学力の実態を見ることができる調査であるが、そのことを組合は、実施自体を市教委も学校も一切、説明していないというのである。

しかし、説明するすいなか以前に学力テスト実施の意義を先生自らが問わなければならないし、教育の責任を最終的に国と地方自治体がとろうとしている新教育基本法の理念を理解していれば、本来はこのような申し立てなど出て来ようがないのにと思う。

というような全国学力テストについて誤解した見解を持ち出して組合を批判している。
 誤解と言っているのは、「学力テストは、学習指導要領に沿った教育がどの位、児童・生徒に達成されるか見るものであり、その結果が市町村単位まで公表されることによって、初めて学力の実態を見ることができる調査である」という部分。
 先日文部科学省が公表したものは何だったか。「教育課程実施状況調査」だ。それは、まさに「学習指導要領に沿った教育がどの位、児童・生徒に達成されるか見るもの」であり、その結果を見れば「学力の実態」は把握できる。各自治体で実施されてきた学力テストにおいても同様の結果を得ることができる。全国学力テストでなければ把握できないことがあるとしたら、それは一体何であろうか。そのことをまず問わずに全国学力テストの意義を主張されても、それは誤解であるとしか言いようがない。
 また、「教育の責任を最終的に国と地方自治体がとろうとしている新教育基本法の理念を理解していれば、本来はこのような申し立てなど出て来ようがないのにと思う。」というのも誤解だ。
 全国学力テストの結果が出たとして、そのときに国や地方が取る責任とは何か。どうやってその責任を果たすのか。その仕組みがどこに存在するのか。
 全国学力テストはhttp://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070411/1176266299でも書いたように政策評価のために実施される。これは文部科学省が全国学力テストの目的として明らかにしていることだ。であるなら、そこから何を得るのかというのは明確にされていなければならないし、その結果の責任をどう取るのかということも明確にしておく必要がある。そういうものが無いにもかかわらず、全国学力テストによって「教育の責任を最終的に国と地方自治体がとろうとしている」というのは誤解である。
 また、全国学力テストが政策評価であることを理解するならば、必要な情報とそうでない情報との区別が必要だし、必要の無い情報を収集されることに対して異議申し立てを行うことは正当な行為だ。
 ここで指摘したような全国学力テストに対する誤解を解いていくことから始めなければいけない。