日本との違い

地方教委 民間が運営

 これから、イギリスの教育(正確には、イングランドの教育について)特集していくようだ。今回は、民間が運営している教育委員会の話。
 この記事を読みながら感じたのは、日本とイングランドの教委の違い。それは、民間が運営しているという点ではない。イングランドの教委は、現場を支援するための「専門家集団」であって、日本のように文部科学省地方事務所ではないということ。
 以前、http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070305/1173077771で、中山元文科相の馬鹿げた発言を取り上げたが、日本では、教委の権限強化、視学官の権限強化、文科省の権限強化いずれも、現場を監視し、統制する、または、都合の悪いものを排除するための権限強化の議論ばかり。
 しかし、どれも本来は現場を支援するための「専門家集団」であるべきだ。現場が様々な問題に直面し、疲弊し、荒廃しているというなら、そういう現場を内外から支援するための組織とするという方向で改革すべきだ。しかし、そういう方向性は出てこない。
 この記事の最後には、

 最近の日本の教育改革は、学校評価や全国学力テストの実施など、英国を参考にした例が多い。地域住民らが学校運営に参画するコミュニティースクールも学校理事会制度の影響を受けている。教育再生会議で提言された教育委員会の第三者評価も、イングランドの監査を意識している。

 イングランドでは、教委にあたるLAを監査する制度が1998年にできた。現在、七つのLAが民間委託している。過去には、企業が撤退した例もあり、民間委託=成功ではない。

 サッチャー政権は、財政権と人事権を学校に移す一方で中央集権的な教育行政を敷いた。97年からのブレア政権は、困難校への改善支援の役割をLAに担わせつつ、教育水準局の監査の結果次第で、国がLAの民間委託を含む改善命令を出せる仕組みを作った。

 イングランドの義務教育は5歳〜16歳。統一カリキュラムの達成度を測る全国テストは7歳と小学校を終える11歳、14歳と中等学校を終える16歳の4回実施される。ただ、全国テストはイングランド以外では縮小や廃止の方向にある。

 地方当局(LA) 日本のように非常勤の教育委員は存在せず、議会の文教委員会が決定した政策を当局が実行する。イングランドには150のLAがある。以前は地方教育当局(LEA)と呼ばれたが、児童福祉行政も担うことになり、名称も変わった。

という解説がついているが、イギリスの場合は、現場を支援することを目的とした様々な「監査制度」であることを強調していない。日本のように、監視・統制するための監査制度ではない。
 今議論しないといけないのは、教育委員会を、現場を支援するための組織へと変えるにはどうするかということだ。