丁寧な説明と議論を行えばいい

国学力テスト:不参加撤回を 犬山市議が市と市教委に申し入れ /愛知

 全国学力テストへの不参加を表明している犬山市で、同市議16人が9日、不参加を撤回し、児童が参加できるようにすべきだとする申し入れ書を丹羽俊夫・市教委委員長と田中志典市長に手渡した。

 申し入れ書は、市議21人中、共産4人と無所属1人を除き、無所属14人と公明2人が署名。「全国学力テスト・学習状況調査は、自治体間や学校間を競争させるものでなく、児童生徒の全国的な学習到達度・理解度の把握を検証し、教育指導の改善や教育環境の充実を図るもの」と参加できるよう求めている。

 記事にもあるように、犬山市はこれまで独自の教育目標を掲げ、様々な施策を実施し、実績を上げてきている。それをわざわざ全国学力テストに組み込まれる必要は無い。
 犬山市教委は、これまで実施してきた施策の実績と、その施策を実施するのに、全国規模の学力テストは必要が無いこと。そのことを保護者にも住民にも丁寧に説明することが必要だ。そういう過程も無く、全国学力テストへ参加することを決めてはいけない。
 犬山市のように独自の改革を行っていて、全国学力テストに参加しないという判断を行っているのは、そう多くはない。少数派だ。そういうところが、「全国学力テスト・学習状況調査は、自治体間や学校間を競争させるものでなく、児童生徒の全国的な学習到達度・理解度の把握を検証し、教育指導の改善や教育環境の充実を図るもの」という理由で、独自の改革を止めたり、できなくなる可能性を高めるのは間違っている。
 全国学力テストなるものが、なんとなく魅力的に見えるのかもしれない。しかし、独自の理念を持ち、改革を行っている自治体にとっては参加するメリットは無い。
 また、全国学力テストには参加しなければいけない、というある種の強迫観念というか、思い込みが強くある。しかし、全国学力テストという大規模な調査が必要なのは、国が教育施策を見直すために必要なのであり、それならば、従来のサンプル調査で事足りる。
 地域ごとに子どもの課題を見つけ、対策を行うのであれば、その地域ごとの学力テストで十分だ。そういうことを犬山市教委はきちんと説明してほしい。
 これまでも何度か書いてきたことだが、学力テストが子ども、教員、行政にとってそれぞれ異なる意味を持つということ。それは、同じテストによってカバーする必要が無いこと。何より、大規模になり実施時期や内容などが必要に応じて選択できないような柔軟性の無いものより、必要なときに、必要な内容で実施できる小規模の柔軟性のある学力テストのほうが子どもや教員にとっては重要なことだ。
 最後にもう一度、書いておく。犬山市は全国学力テストに参加する必要は無い。市教委は、丁寧な説明と、議論をきちんと行ってほしい。そして、他の自治体でも自分たちは本当に全国学力テストが必要なのか、きちんと議論をしてほしい。国がやるから参加するとか、反対すると批判されそうだからとか、そういう馬鹿げた考えを捨てるべきだ。