ダメ人間収容施設をつくるのかな

教育再生」への三つの提言/山田英雄(CPP 財団法人 公共政策調査会理事長)

 まず、

 かつて、校内暴力、麻薬、アルコールの乱用、フリーセックス、10代の妊娠を始め青少年犯罪の激増に悩んだアメリカでは、レーガン大統領が委嘱した「教育の卓越に関する国家委員会」の『危機に立つ国家』(1983)と題した報告書において「我々の国家は危機に瀕している」と書き出し、「古き良き学校」の再建を提案した。
 また、同じく教育の荒廃に直面したイギリスでも、サッチャー首相が「教育の再生なくして国家の再生なし」とのスローガンの下に精神革命ともいうべき救国の改革をおこなった。

ここでも登場するこの話。このテンプレートつくったのは誰だろう。彼らはこれを持ち出さないと気が済まないらしい。
 ここからが、注目に値する御提言。

 今では「自己中心のゆとり教育」、「家庭での過保護」、「テレビ・ゲーム漬け」、「他人への無関心」の中で、子ども達は「社会とのかかわり」や「公」を意識することなく、また「人生の生きがい」を感ずることなく、ただ無気力にその日暮らしに堕している。
 こうした子ども達に「社会性」と「志」、「気概」を持たせるためには精神的、肉体的に鍛錬する機会を与える必要がある。
 外国では、青年期には、兵役や又はそれに代わる社会的役務で鍛えられるモーメントがある。
 したがって、青年期に鍛えられることのない日本の若者には、せめて高校の卒業前の三ヶ月からの半年の期間、研修施設での集団生活を義務づけて介護施設でのヘルパーなどの社会貢献活動や土木工事現場での肉体労働など多様な活動に従事させ、お互い同志の切磋琢磨の中で身体・精神の両面で鍛錬を施すことが不可欠である。
 只今の18歳人口は、110万人程度であるから1万人収容の研修施設を全国に100ヶ所程度建設して厳しい鍛錬のほかダンスパーティもやりキャンプファイヤーもやる楽しい集団生活を送らせれば良い。
 この集団生活鍛錬を履修すれば、大学に無試験で入学できる資格を与える。但し、大学にはPL法(製造物欠陥法)を適用し、社会に出て役に立たないような人材は欠陥商品として卒業させないことだ。
 このような教育システムを作れば只今のレジャーランド化した大学は様相を一変し、日本の将来を担う多くの有為な人材の輩出が期待できることとなろう。

 大学に滞留する何万人もの欠陥商品の若者。それを想像するとぞっとする。こんなの本気で提言しているのだろうか。
 たぶん、この提言通りに鍛錬された人たちが世の中に出てくると、いじめにも耐え、生活苦にも耐える。どんな苦しいことにも耐えられるようになるんだろう。そうなればいじめも問題にならないし、ワーキングプアも問題にならない。たぶん、そういう素晴らしい社会になるのだろう。
 教育って何のためにあるんだろうか。思わずそういうことを考えてしまう。教育という名を借りて、平気でこういう提言が出てくる。そのことに危機感を感じないといけないのではないだろうか。