今だから必要なことは

社説:教育基本法改正 机上論争の前に現実に目を

 この社説の中で、

 一連の問題は子供たちに不幸、不運を重ねながら次々に浮上した。その痛ましさや影響の大きさから、教育状況に対する国民の関心はこれまでになく高い。そこで与野党に提案したい。教育基本法改正案の審議も当面は逐条的な論争ではなく、こんな連鎖的な教育危機ともいうべき状況の中で教育の基本問題を真摯(しんし)に考え、率直に論議する場にすべきではないか。

と主張されているが、それは大きな間違いだ。教育基本法といじめの問題、未履修の問題は切り離して議論されるべきなのに、いじめの問題や未履修の問題を持ち出して、教育基本法改正の問題と結びつけて議論をし、教育基本法改正の問題もいじめや未履修の問題も曖昧にして議論している。
 教育基本法改正の理由とされることの多くは、教育基本法と直接的な因果関係を持たないものばかりだ。そういうものを理由として改正しようとしている。そうであるならば、教育基本法改正の問題は逐条的な議論をし、きちんと因果関係などを明らかにする必要がある。
 いじめや未履修の問題は、文部科学委員会できちんと時間を確保して議論すべきであり、教育基本法改正の議論とは切り離すべきだ。昨日の議論を見ていても、教育基本法の問題は一向に議論が深まらない状況で、審議時間だけはどんどん消化、上積みされている。このままでは、教育基本法の問題は問題点すら明らかにならないまま、採決へと流れていく。それは絶対にあってはならない。
 この冒頭に引用した社説の主張では、

 教育基本法改正論に対しては「それで現場の難問が解決するのか」という異論が常にある。推進派もそれに答える意味で、眼前にはだかる現実問題とまず向き合い、国民的論議に広げていくべきだ。それが、ひいては法の改正をめぐる論議に厚みをもたせることにもなる。

とは逆の方向に向かうだけであり、議論がさらに薄っぺらなものになるだけだ。