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安倍首相:教委に国の関与強化 いじめ自殺「統計に不備」

 安倍晋三首相は30日夜、高校の履修単位不足問題など、相次ぐ学校現場の不祥事で教育委員会に批判が出ていることに関し「(改革には)教委の機能強化と、国との関係(見直し)がある。それを含めて教委が機能を発揮するよう議論する」と述べ、都道府県教委への国の関与の強化も含め、政府内の議論を進める意向を示した。首相官邸で記者団に語った。

 首相は同日の衆院教育基本法特別委員会で「国と地方が役割分担し、責任を果たすことが重要」との認識を示していたが、国の関与強化も排除しない考えを示した。

 国の関与強化は良いことではないかという主張があると思う。しかし、それは監視、規制の強化であり、より一層の中央集権化と官僚化を推進するものだ。その結果、教育は現場やそれに近いところの裁量の余地などを縮小させることになる。そうなれば、教育への政治の影響力は今以上に強まる。
 また、こういう動きに対してなぜ殊更警戒すべきだと主張するのか。それは、思考停止状態の中でそういう動きが進行していくからだ。冷静な判断を欠いている状況で、国の関与強化という動きが進行し、冷静になり気が付いたときにはもはや手遅れということになるからだ。
 教育の問題において国の関与を高めるということは、国への依存度を高めることであり、それは、現場の思考停止を招くことに他ならない。そして、今以上に無責任な体質が強まり、教育制度は、今以上に硬直化したものになる。
 国の関与を高めるというのは、責任を追及される側、不利益を被っている側双方にとって楽になる方法ではある。しかし、それは劇薬を投与し、一時的に感覚を麻痺させるだけであり、病気が完治することではない。そして、それは常習性という副作用を持っている。そのことを理解しておくべきだ。
 昨日の衆議院の特別委員会の質疑を聞いていると、民主党も国の関与強化を望んでいるようだ。与党も民主党もこの問題に関しては違いがない。