教育再生井戸端会議に期待はできるか

教育会議座長、野依氏に打診=委員に門川・京都市教育長ら

 安倍晋三首相は3日、教育改革を官邸主導で進めるため内閣に設置する「教育再生会議」について、ノーベル化学賞を受賞した野依良治理化学研究所理事長に座長就任を打診した。ただ、野依氏は難色を示している。
 また、委員に門川大作京都市教育委員会教育長が固まったほか、葛西敬之JR東海会長、池田守男・資生堂相談役らも起用する方向で調整している。委員は各界の有識者10人程度で、首相や塩崎恭久官房長官伊吹文明文部科学相も参加する。

 この記事に挙げられている方以外にどなたが委員になっても、これは教育井戸端会議にしかならない。経済財政諮問会議とは似ても似つかないものになるようだ。
 経済財政諮問会議には、経済に関して少なくとも「素人」の委員はいなかった。どの委員も経済に直接または間接的に関わっている方々であって、専門的な話題にもきちんと自分の考えを述べることができる方々が揃っていた。
 だが、教育再生会議の委員は、専門的な話題にもきちんと意見を述べられるような専門的な知識を持った方々がいない。それこそ現場も知らない人ばかりだ。
 教育再生会議では、教育は誰もが語ることができる。ただその一点だけで、意見を述べられればいいという基準で委員を選んでいる。中教審以上に馬鹿げた人選を行っている。
 例えば、教育バウチャーを提言するにしても、その問題をきちんと理解・把握している委員は一人もいないだろう。だから、選ばれた委員だけで、教育バウチャーのメリットやデメリットについて議論することはできないし、判断することもできない。結局は、研究者からヒアリングを行ったりして、一から議論をしていかなければならない。時間と費用の無駄ではないか。
 経済財政諮問会議がきちんと機能したのはなぜか。専門家集団だったからだ。教育再生会議は、いわば素人集団であり、経済財政諮問会議ほどの力は発揮できない。中教審との役割分担も明確ではない。この程度の組織では、中曽根内閣の臨教審や小渕・森政権の教育改革国民会議のような役割さえも果たせない。
 こういう組織には、教育再生井戸端会議という名前がよく似合う。外でわいわいがやがやと言うのは勝手にどうぞ、現場を混乱させるようなことだけはしないでほしい。安倍教育内閣は、本当に教育を重要課題だと考えているのだろうか。