やるべきことをしないで何が「美しい国」か

府立学校教員:異動基準年数短縮 障害児学校生の親ら不安の声 /大阪

 府教委が、府立学校教員の異動基準を「現在の学校に在籍7年以上」から「4年以上」に、来年度から短縮するのに対し、盲・聾(ろう)・養護学校に通う児童・生徒の親、教員らから「継続性、専門性の必要性を考えると4年での異動は短すぎる」と不安の声が上がっている。府教委はこうした声も受け、異動にかかわる内規で新たに「(養護学校などの異動には)専門性を考慮する」と盛り込んだが、保護者、教員らは引き続き配慮を求めていくという。
 府教委は、異動基準の改訂を「人事の活性化を図るため」と説明。
 府立障害児学校教職員組合(府障教)によると、府内の主な市は異動基準を7〜10年としているため、小学校教員は児童より長く在籍し、ある学年の児童たちが入学して卒業する成長過程を見届けることになる。新基準が適用されると、府立の障害児学校小学部の教員は、この過程を見届けないまま、異動する可能性が出てくる。

養護学校:パンク寸前 在籍者急増、最多の5720人−−大阪府・今年度

大阪府養護学校:パンク寸前 通学バスぐるぐる、片道1時間も…子どもパニック

 大阪府の障碍児の教育について3つも記事が出ていた。取りあげた記事では、「府教委は、異動基準の改訂を「人事の活性化を図るため」と」説明したという。しかし、人事の活性化よりも優先されるものは何か。子どもたちの教育だろう。子どもたちの教育のことを最優先に考えるなら、最初から養護学校の教員はその基準から外すということもできたはずだ。
 そして、国会では「教育再生」「教育の正常化」などと言って、教育基本法の改正を参院選挙前に行うためにまともな議論もせずに時間だけを稼いで可決してしまおうとしている。そういうことをする前に、やらなきゃいけないことは山ほどある。今回取りあげた記事に書かれてあるような問題を先ずは解決するべきだ。これは大阪府がどうにかしなければいけないことだと言うかもしれないが、大阪府に対してだけでなく他の自治体でも国が財政面の支援を行って整備を促すことができる。だから、これは大阪府だけの問題ではない。そういうことを国はきちんとやるべきだ。
 足下にある問題を全く見ないで、何が教育再生か。何が教育正常化か。教育基本法第十条第二項は次のように規定している。

教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

 きちんと「必要な諸条件の整備確立」ができていないのに、教育基本法第十条は削除すると言っている。削除する前にここで規定されていることをきちんとやるべきだ。やるべきことをやらないでスローガンだけを掲げ、勇ましく振る舞ってみても問題は一向に解決しない。