どういう戦略を立てるか

 9月の自民党総裁選が終わると、教育基本法の問題が再燃する。教育基本法の改正に意欲的な人たちが権力の中枢に座る。そういう状況の仲で改正を阻止するためには、どのような戦略を立てればいいのだろうか。
 例えば、日本教育学会の歴代会長の連名で出された「教育基本法改正継続審議に向けての見解と要望」(教育基本法「改正」情報センターのサイトで見ることができる)を、教育を専門としない一般の人たちが読んだとき、どれだけの説得力を持つだろうかということを考えてしまう。
 今「教育」に対して多くの人が不満や危機感を持っている。そいう不満や危機感は教育基本法の改正に対して賛成か反対かという立場を超えて共有されている。そういう不満や危機感を無くすために教育基本法を改正すべきという主張は、一定の説得力を持つ。それに対して、改正反対の立場から有効な主張はほとんど出てきていない。
 また、改正に賛成の側と反対の側との意見は大きく食い違っている。それは、現状をどのように捉えるかというところに違いがあるだけではなく、どちらも自分たちの主張を通すために、一方の主張を最初から排除してしまっているからだ。それは、小泉首相の論理と同じで、一方的に自分の主張だけを通して、議論を積み上げていくことをしない。
 教育基本法の改正に反対の立場から、一方通行の議論から議論を積み上げていく方向へとどうやって持っていくのか。そのための戦略を立てる必要がある。個人的には、教育基本法の問題を「法律の問題」としてきちんと議論をしていくこと。教育基本法改正に関連して出てくる「教育言説」をディコンストラクションすることが必要なのではないかと考えている。
 議論を積み上げないまま、教育基本法が数を頼りに改正されるのは一方的な「押しつけ」でしかない。そういう改正をさせないためにも何らかの戦略が必要だ。